ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

5年書写 消しゴムはんこ

今日は5年書写(学校図書)「消しゴムはんこを作ろう」の授業をご紹介します。

めあて

消しゴムはんこを作ろう

概要

毛筆書写作品に押印する「消しゴムはんこ」を作ります。

適宜実施単元のため実施時期は決まっていませんが、毛筆書写が始まる前が適しています。

必要なもの

・消しゴム(代用品:油粘土または発泡トレー)
・彫刻刀またはカッターナイフ(代用品:鉛筆削りで削った割り箸または竹ぐし)
・下書き用トレーシングペーパー

授業の流れ


導入(10分)
消しゴムはんこを作る目的と学習活動を伝える。


展開(30分)

消しゴム、1個分に切り分けたトレーシングペーパーを配布。

トレーシングペーパー上に彫りたい文字を鉛筆で濃く記入し、消しゴムに押し付ける。
ここで必ず鏡文字になっているか確認し、問題なければ彫りに進ませる。

消しゴムに文字を写します


押し付けて写った文字を鉛筆やなまえペンで濃くし、細く削った割り箸で彫る。

写し取った文字を彫ります


出来上がったはんこに朱肉を付けて試し押しをし、問題なければ提出。

まとめ(5分)
片付け

実践後記

制作時間20分ほどで完成していました。
最初は「どうやるの?」「できるの?」と不安そうな様子でしたが、実際始めると質問も減り黙々と取り組めていました。
朱肉を付けて紙に判を押すと、達成感を感じて嬉しそうにしていました。今度は家でも作りたいと言ってくれた児童もいました。

ICTを使うなら
手順説明で、書画カメラを使うと手元を大きく写せるので作業手順をより分かりやすく伝えられます。

時間が余ったら漢字のプリント等を用意し、取り組ませると良いです。

先生が教える授業から、自ら資料を探し気づく授業へ

こんにちは。ぐうぽんです。

先日の6年国語では「言葉の変化」について指導しました。

 

時代によって変わった言葉、世代によって言い方が違う言葉にスポットを当て、使う上では時代、世代間の齟齬を理解するなどの注意が必要というものです。

 

小学校に限らずですが、授業というのは講義型が多いです。


まあ知識を教授しないとそれをヒントに思考、判断することもできないので仕方ないですが、そんな授業ばかりでは飽きてしまいます。


学びの主役は児童ですので、自分たちで知識を探させて学んだ方が楽しいと思うんです。

 

そこで今回は、ネットを使って変化した言葉たちを探してきてね、と称していろいろ見つけてもらうように仕掛けました。

サイトの下調べ

児童にネットを使って調べさせる場合、サイトの下調べは大変重要です。

大人と違い児童はネットの扱いが未熟です。


何もせず「探してこい」と投げてしまうと、児童が変なページに行ってしまったり、サイトに辿り着けなかったりと結果が伴わない危険性があります。

そうならないために、前もって使えそうなサイトは調べておきましょう。

 

総合のように本格的な調べ学習なら児童に検索ワードも考えさせますが、今回は情報収集がメインなので、ここでは使えると判断した検索ワードを提示し、そこから調べてもらうようにしました。

授業をやってみて

掴みとして、「エモい」「ヤバい」といった言葉を例に出して普段使っている言葉に注目させ、ネットで調べその結果を発表してもらいました。

 

板書はせず、ワークシートを書画カメラで投影しました。

 

時代での変化は「古典 現代 言葉」をキーワードに以下のサイトを利用しました。

https://manapedia.jp/text/350

 

言葉の意味が少し変わったものもあれば、正反対になったものもあり、その変化に驚いていました。

 

続いて世代による変化も「世代 言葉 変化」で探してもらいました。

まずはこのサイトでクイズ大会しました。

検索はここを使いました。

Contenmporary Words And Phrases mikilab.doshisha.ac.jp  

私の親世代が普通に使っていた「コール天」「魔法瓶」も今や死語。
(一部児童には「かっこいい」と刺さったようですが)
本当に言葉は巡り巡っているんだな、と感じました。

学びは調べて終わりではない

今日の授業は、正直言えば調べて終わりに近い形ですが、本来の目的は調べることではありません。

 

調べる中で、かつて使われていた言葉や、今も使われ続けている言葉の裏側には時代や世代といった人や時間の流れがあったという知識の面、そして言葉は今も変化していることへの気づきを持たせることでした。

 

どんな教科でも言えますが、調べて出てきた言葉を書くだけなら簡単です。


でも本当の学びとは、調べて知識を得たら、自らの知識と比較したり照合したりして考えを深め、新たな概念を生み出すことだと思うのです。

授業は知識教授型から、課題解決型へ

私は大学で卒論執筆の際、世界の教育スタイルを調べました。


そこで世界の授業の多くは生徒に課題を与えてその答えをAIやパソコン等を用いて見つけ出す授業だと知り、愕然とした記憶があります。

 

今の日本も少しずつですがそういったスタイルを取り入れつつありますが、指導の効率化を考えると、一斉教授を主とした方が統率が取れますし、教師の予想内に収まるので指導トラブルは起きにくい。だからそう簡単には変われないように感じます。

 

しかし社会に出ると、そんな手のひらの上で踊るような範囲内で物事が解決できる訳がありません。


目の前に起きた課題について、ネットで調べたり知見を活かしたりして解決を目指すものです。

 

だから学校教育も、そうした社会のベースに則った「課題解決型」授業をもっともっと取り入れ、やり方に慣れていく必要があると思うのです。

まとめ

教師の役割も、この十数年で「教える」から「支援する」に変わりつつあります。
それは見方によっては「教えないなんておかしい」「教育の怠慢」「投げやり」と捉えられるかもしれません。

 

しかしいつまでも手取り足取り教える、答えは教師が持っているという教育は良くないと感じます。

 

常に答えを教師に求めるような児童生徒の育成は好ましくありません。
それでは指示待ち人間になってしまいます。


自ら考え、判断し、下した決定を教師が判断したりアドバイスしたりするほうがよっぽど自立につながりますし、自己肯定感が育ちます。

 

私は課題解決型の延長こそ研究だと思っています。


こうした自らテーマを決め、資料を集め答えを出す活動が、総合だけでなく教科単元でも増えるようこれからも色々検討、実践してみたいと思います。

小学校が担うICTのバトン

こんにちは。ぐうぽんです。

勤務校の一つに、私の前職時代を知る校長先生がいらっしゃいます。
雑談の中で、今後のICT活用について少し見解を話す機会がありました。

 

これまでは独自型で楽な活用

別記事でも書きましたが、学校の場合、導入されるソフト等は発達段階の考慮や管理のしやすさ等で独自ソフトが多かったです。

 

一般的なOfficeソフト等と違うため、多少の操作性の難度はあるものの、学習効率と天秤にかけると目を瞑ればいいか、と使用されてきました。

 

しかしこの現状を一変する出来事がありました・・

 

GIGAスクールによる活用に変化

2020年、新型コロナウイルスの流行により、学校教育は「学習機会の損失」という大きな岐路に立たされました。

これまでの教育方法を改め、新たな学習スタイルの構築を余儀なくされました。

 

当初予定よりも前倒しし、急遽各小中学校の児童生徒一人一人にパソコンやタブレット等の端末が付与されました。

いわゆるGIGAスクール構想」です。

 

全国で導入されたパソコン(タブレット)の多くはGoogleChromebookです。

 

端末が安価であること、Windowsに似ている操作性、しかし性能はWindowsの6割程度・・

 

そんな端末に、当初(今もですが)悪戦苦闘する先生は多かったです。

しかし特筆すべき利点は、多くの自治体に導入されたことです。

 

小中学校のGIGAスクール端末OSシェアはGoogleのChromeOSが1位、MM総研調べ  2023年10月12日、MM総研は「小中GIGAスクールにおけるICT環境のベンダーシェア分析」を発表した。調査によれば xtech.nikkei.com  

 

異動を伴う職業である先生は、これまで独自ソフトを理解しても、異動先には存在しない、いや、逆に別の独自ソフトがあってまた新たに学ばなきゃならない・・。
こんな経験を繰り返されていました。

 

多くの自治体がChromebookを導入したことで、異動しても同じソフトを使うことができる点は、大きな変革をもたらしたと私は思います。

 

これにより、OSだけだった汎用性が、ソフトにも広がり

 

「独自ソフトから、汎用性のあるソフトの活用へ」

 

と、徐々に潮流が変わってきていると思います。

学校も将来を見据えたICT活用を

私は校長先生に
「やっぱりローマ字できないとまずいと思います。スライド等の操作も全くしないのは中学校に行ったとき問題になるかと・・」

 

そう提案しました。そして結論は

「子どもたちはこの先、Chromebookもそうだけど基本的なOfficeとか使えるようにしないとダメだよね。中学や高校からじゃ遅いと思うよ」

 

見解が一致しました。

 

かつて小中学校両方のICT活用を見てきましたが、小中学校の架け橋は非常に難しいものでした。

中学校では「ローマ字は打てて当然。PowerPoint等も慣れている」とみなして授業をされていました。

しかし蓋を開けるとローマ字はおろか、PowerPointは卒業した小学校によってできる子とできない子の格差が大きい、なんてことは結構多い話です。

 

それに、今は多くの小学校で6年生の進学先が私立や中高一貫校など、地元を離れる傾向にあります。

 

ですので、ある程度キーボード入力やOfficeソフト等に慣れておかないと、中学校でスキル格差が出てしまうのです。

 

したがって、

学校は、ICT活用においても将来を見据えておかないといけないのです。

 

進学先が何を使用しているのか、それは把握が難しいです。

 

ですが、先の引用データで全国の一人一台端末はChromebookWindowsiPadの3つに大別されていることが明確になっています。
そして、これらに共通するソフトの代表は、いわゆるOffice系です。

 

なので、進学先がどんな端末やOSを使うことになったとしても、ローマ字とOfficeソフトに早い段階から慣れ親しんでおけば、進学後苦しむことはないと思います。

 

Windowsと親和性の低いiPadでも、Googleアカウントを取得すればGoogleドキュメント等の利用は可能ですので、Office系に触れられます。

 

上級学校への進学を見据えて、できる限りのITスキルを習得させることは、子どもたちが社会へ巣立つときの強みであり、武器にもなります。

 

そのためには、先生もICTに慣れ親しむ、子どもと一緒に取り組んでみる、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら活用を見出すことが大事だと思います。

 

もうすぐ新年度です。
子どもたちの未来を考えながら、ICT活用の道を一緒に探してみませんか?

ICTを授業で用いるときに考えてほしいこと

こんにちは。ぐうぽんです。

 

よく「教科でのICT活用促進」が謳われていますが、見ていると、たまーにですが「あ、この授業ICTを無理やりねじ込んでいるな・・」と思ってしまうことがあります。

 

こうした、活用を目的にすることを「手段の目的化」と言います。

 

支援員時代からずっと、この「手段の目的化をやめよう」と訴えてきていますが、まだまだ後を絶たないようです。

手段の目的化の弊害

教科指導でICT活用を目的にすると、どんなことが起こるのでしょう。

学習目標がずれます。
授業の質が下がります。
子どもの理解が深まりません。

 

他にも準備の負荷や、やってみたのに結果が出なかった=ICTに対する苦手意識増幅などのデメリットがあります。

 

だから

無理に「使わなくちゃ」なんて考えないほうが、逆にいいこともあるのです。

 

手段の目的化を防ぐ、3つのチェック

それでは手段の目的化を防ぐにはどうすればいいのでしょう。
私の経験上から、3つのチェック方法をお伝えします。

 

1つ目は「指導書から活用を見いだせるか」です。

・指導する単元、授業にICTを取り入れたら理解は深まるか?
・具体的な活用場面がイメージできるか?

 

ここで「手段の目的化」が起こりやすいと感じます。
なによりも学習内容の理解を深めることが第一ですので、子どもたちの意欲を高めることや、アナログだと時間を要するけどICTなら時間短縮できそう・・といった具体的な活用イメージが浮かぶと、良い授業が生まれやすいです。

 

2つ目は「準備等の負荷」です。

ICTの活用にはトラブルがつきものですし、準備も慣れていないといつも以上に時間を要します。

 

・余計な手段になっていないだろうか?
・万一を考えた「バックアップ」は用意できるか?
(場合によってはICT支援員等専門家の力を借りられるか?)

 

予想以上のことも起こり得るので、授業においては常に細心の準備を払うことが大事です。

ネットが当日使えなくなった!なんていうのも普通にありますので、紙媒体も用意しておくなど、最善を尽くした準備をしておきましょう。

 

3つ目は「活用スキル」です。

 

子どもたちの活用スキルはどうですか。
指示した操作を、子どもたちができますか?

もしできないようなら、前もって練習の時間を取ることを勧めます。

 

同じく先生のICT指導のスキルはどうですか。
操作を自信持って行えますか?

 

操作の不安は、早めに解決しましょう。
操作に長けた専門家や先生にT2をお願いするなど、力を借りるのも一つです。
困ったらぜひ色々伺ってみてください。不安解決の糸口が見つかるかもしれませんよ。

 

まとめると

学習課題の中にICTを入れられるかどうか。
入れたことで授業の質は上がるか。
学習意欲は高まるか。
トラブル等への対応は可能か・・
(これはプログラミングで言う「条件分岐」ですね)

 

流れがスムーズにできるなら取り入れる。
無理強いしてそう、と思ったらやめる。
そうしないと「ICT使ってみたけど準備とか大変だったし、管理も面倒だったから、やっぱり使わないことにしよう」となってしまいかねません。

実践前には常にこうしたチェックをしておきましょう。

引用を「パズル」で楽しむ

こんにちは。ぐうぽんです。

 

引用文を書くというのは、調べ学習が増える3年生以降ではかなりな重要案件だと思っています。

 

もちろん調べ学習だけでなく、今後のレポートや論文にもつながるので、引用を知っておくのは早いうちの方が良いとも言えます。

 

光村図書国語3年「引用するとき」では、2時間にわたって引用について学びます。
実践した授業を報告します。

1時間目 引用の仕方

1時間目は、引用を使わないと出所が分からず答えられないなどの問題がある点に着目し、例文を引用付きの文に変えるものでした。

 

しかしいきなりやれと言ってもレベルが高いな、と感じました。

 

書かせるより、書き方を学ばせよう

 

ここはICTの力を使おうと思いました。

 

ここではベネッセの「ミライシード」が導入されているので、「オクリンク」のカードに3つの段落に分けた例文写真を付けて配布。


これらをパズルのように「はじめ・中・終わり」で並べ替え、ここに引用を加えて構造を知ってもらうことにしました。

 

はじめ・中・おわりの画像

 

実際やってみると、やはり最初は理解できず質問の嵐でしたが、段落と段落の間に以下のような定形文を足すんだよ、と伝えたらなんとなく分かったような様子でした。

 

引用のルールを加えた模範解答

2時間目 引用付き文を書こう

1時間目の例文をもとに、2時間目は教科書に載っているコラム「こまを楽しむ」から引用を使った文を作ってもらいました。

 

手順の流れを理解させ、紹介したい内容を決めたら、書き方の定形文を板書。それに基づいて引用文を作りました。

 

もちろん最初は苦労していましたが、コツを掴んだ数人が文を完成させると、ミニ先生として他の人を助けに行ってくれました。

引用は、パターンを覚える

当然ですが理解に苦しむのは予想していました。


最初の例文も「なんで”言葉で遊ぼう“って書くの?」と聞くし、説明しても理解できず大変でした。

でも百聞は一見にしかずでやってみたのが、結果的に良かったのかもしれません。



今回使ったのはオクリンクでしたが、画像が貼れるシステムであればJamboard等でも使えると思います。

 

一から考えるより、パターンを知った方が良いかなというのが私の見解ですが、いかがでしょうか?

パソコンクラブの活動から見る、プログラミング教育の壁

こんにちは。ぐうぽんです。

 

先日、久しぶりに勤務校のパソコンクラブに参加しました。


ICT支援員の頃はよくクラブ活動に呼ばれてサポートする機会もありましたが、講師という身分になってからはほとんど参加できていなかったので、(このままでは私の良さが埋もれてしまう・・)と感じ、見学程度の気持ちで覗いてみました。

Scratchを楽しんでいるけれど・・

担当の先生からは「スクラッチでゲームを作ったりしているくらいで、特に目的を持ってやってるわけじゃないですけど」と前置きがありました。

 

私は各学年ごとにグループになって黙々と作業をしている様子を見ていました。

 

すると一人の子から質問があり、なんとなくな知識で「こうじゃないかな?」と解決方法につながる手順を教えると、徐々に「ぼくも」「先生、終わったら次に」と、どんどん呼ばれるように。


とはいえ、私は正直Scratchはそれほど得意じゃなく、むしろ苦手な分野。
内心ヒヤヒヤものでした。

 

活動自体としては、一人一人が作りたいものを作っていく。
そんな雰囲気でした。

 

でも、これをプログラミング教育の観点から見ると、果たしてどうなんだろうか。
そう感じました。

専門家じゃないと難しい

これは終了後、担当の先生が発せられたつぶやきです。

 

まさにその通りです。
こんな内容は、専門家じゃないと答えられないです。

 

Scratchはなんでもできるスグレモノ。
なんでもできるから、逆になにもできないものだと私は感じます。

 

要は、「こんなことができる」という具体的な事例がもっと表に出てこないと、想像すら働かない難しいものだと思います。

 

ましてや指導するのはちょっとだけパソコンスキルの高い教員ですから、子どもたちの質問にすべて答えられるとは限りません。
(私ですら頭を抱えてしまいます)

 

さらにここにはmicro:bitもあるそうで、「使ってます?」と聞くと「いやー、さすがにこれは」とのこと。

 

結局、プログラミング教育が始まるからと色々取り揃えてみたものの、これらは元々理解しにくいシロモノ。


だから遠慮されてしまい、結果パソコン室の片隅で眠ってしまう・・
安易に予想できるものでした。

 

プログラミング教育が目指したものは、論理的思考の育成でした。
プログラミングの手順を通して、順序や条件などの手法を学習や生活に生かしていく。そんな理論でした。

 

でも実際は、STEAM教育どころか先のクラブ活動の姿が答えであり、現実の姿だと思います。

プログラミング教育が一般化するには

この現状を打開するには、結論からすると、

 

もっと敷居を下げないといけない
長けた先生は「誰でも簡単に操作できる事例を知っておく」必要がある
専門家の力を借りるシステムを構築する

 

でしょう。

敷居を下げるには、文系の人でもできるような簡単な理論が妥当でしょう。
順次・分岐・反復を教科単元に重ね合わせると理解も早まると思います。

 

そして少しスキルをお持ちの先生であれば、先の理論に加えてちょっとした簡単な事例をいくつか知っておいて校内研修で広めるのがいいでしょう。
算数理科を中心に難しくない内容が良いです。

 

加えてICT支援員等の専門家の力を借りられるようなシステムを組めれば、困ったときの助けになります。近年はSE出身の支援員もいるので、プログラミングの本質を知るきっかけづくりにもなるでしょう。

 

もちろん地域の方々の力を借りる手もあります。学校が地域に開かれた学校として認知されると嬉しいですね。

 


ただ、このような話は5年前、プログラミング教育がスタートする段階から言われ続けていますし、私も提言し続けています。


5年の月日が経った今、実現どころか、その片鱗すらも見えなくなっている。それどころかもう頓挫しているのではないか。

 

そんなふうに感じられました。

 

クラブ活動は特別活動の一つなので、目標としては「異学年交流」を目指しますので、楽しく遊んで、みんなと相談したり交流したりして良かったね、なら、特別活動の目線ならそれでいいですが、プログラミング教育から見ると首をかしげてしまいます。

 

特別活動の目標も、プログラミング教育の目標も達成できるような教育活動が実現できればいいですね。

家庭科を半年指導してみて

こんにちは。ぐうぽんです。

 

家庭科という教科を指導して半年が経ちました。


目まぐるしくて、準備が大変で、その中でも楽しさを感じつつあるこの教科について、感じたことや考えたことをまとめてみます。

小学校家庭科とは

家庭科は図工や音楽、体育と同じ実技系教科の一つです。


主に小学校では、家族と家庭生活・衣食住・消費生活と環境の3領域を2年間かけて学びます。


実技もあれば座学もある、単元内容によって教室と家庭科室を使い分けるなど、実技一辺倒でも座学一辺倒でもない不思議な立ち位置です。

 

学生時代はそれほど得意でもないし、好きでもない、どちらにもつかない教科の印象でした。


まあそれでも調理実習は他教科にないワクワク感があるのは私も一緒で、多くの人にとって、家庭科=調理実習=ちょっと特別の印象が強いかと思います。

家庭科=生活に密着する教科

家庭科を指導する上で、私は簡単な計画書を毎学期作り、関係する先生にお渡しして方向性の確認をしています。


(というか、あまりにやることが広範囲かつ長期間なので自分の中で落とし込みたい意味合いもあります(^_^;)

 

また単元の始めに「これをやります、ではがんばりましょう」で即実践するのではなく、必ず考察や実践計画を立てる、実習では観察や工程に沿って行い、終わったら振り返るなど、実習前や後にも数多くの活動が隠れています。

例えばお米を炊く活動では、米の重量と体積の違いを考えるのは算数ですし、沸騰する様子を観察するのは理科。


お米の産地を考えると社会だし、献立を立てる活動で栄養バランスや健康を考えると保健体育・・


というように家庭科は非常に多種多様な教科と絡んでいるので、総合的な教科だなぁと思います。

さらに、こうした学習内容の一つ一つは家庭でも学べるものなので、場合によっては学習前に家庭で経験済みだったりする話はよく聞きます。


特にミシンや調理の経験を持っていると、手が回らないときのサポートとして大変大きな力になりますし、本人たちにとっても自分の知識技術が友だちの役に立つと認められる「自己効力感」の育成になります。

入試には関係しない。だけど大切な教科

家庭科って、国語や算数のように入試に関わることもなく、生きる上で絶対必要とも言えません。

 

ただ、大人になって改めて見つめてみると、これはかなり大切な教科だなーと思います。

社会に出ると、人の波に飲まれ流されることも多く、心も体も疲弊します。


そんな時に作りたい物を作ったり料理をしたりすると、気持ちが安定するというか、自分を取り戻せるような感じがします。

 

靴下に穴が開いたり、ボタンが取れたりしたときも、自分で直せたりすれば余計なお金も使わなくてすみますし、環境に優しいエコな生活になります。

 

試験には関わらないけど、学んでおいて損はない教科なのかもです。

ICTを生かした使い方

自分の強みはICTですので、家庭科でもなんとかしてみたい!
そう意気込んでみたものの、実際は指導内容とあまり当てはまらず、苦労しているのが現状です。

 

ですが、これだけは言えます。

 

間違いなく家庭科はICT活用において新たな境地を見出せる教科です。

 

家庭科は実習、実践型教科ですのでドリル問題を解くといった活動は少ない、というか皆無です。

しかし一つ一つ組み解いてみると、結構活用できそうな場面は潜んでいます。

ほぼ毎回実践している一番簡単なものとして活動の撮影があります。
調理の様子、ミシンでの製作、掃除や整理整頓などなど、これまでの単元でもかなり沢山の活動を撮影してきました。
これだけでも十分なICT活用になります。

 

意見共有にICTを用いるのは、少しハードルが上がるかと思いますが効果は大きいです。

 

発言に消極的な子どもでも、タブレットなら感じたことや思ったことを発表できますし、出された意見にいいねをしたりコメントで交流したりもできるので、普段より授業の幅が広くなる印象です。

アンケート機能も使える機能です。

先日「みそ汁」調理で、だしの飲み比べをしました。
そこで一番美味しかっただしを投票してもらったら、かつおぶしが選ばれたので、これを次回の調理で使用することにしました。

本来なら理由を書かせるべきでしたが、突貫工事だったのでそれは次回の改善にします。

アンケート機能で2回目の味も決まる

他にも、現行の教科書ではQRコードが掲載されているので、動画を見ながら作業することもできます。


このように各種活動でICTを使う機会は以前よりも増えてきているので、使わない手はないと思います。

 


ついつい調理実習の楽しさだけが記憶に残りがちですが、調理のみならずミシンや手縫いによる製作、消費者教育、掃除や住まいといった、生活に密着する幅広い学習内容です。

そんな一つ一つの活動を、大人になっても忘れないでほしいなと、初めて指導して思った次第です。