今回も中学校での活動から振り返ります。
活動報告書から見る先生の思い
活動報告書にこのような記述がありました。
現在拡大印刷で提示しているが理解できていない状況。プロジェクタや実物投影機での提示をぜひ行いたいとのこと。
この相談は家庭科を担当しているベテランの先生からでした。
報告書を見ると、夏休み中に上記のような相談を受けたようです。
ICTを活用したいと願う先生からの相談は重要案件
先生、特に中学校の先生がご自身の指導方法について相談をされることは非常に稀なことです。
なぜなら私ですら指導スタイルを確立したらよほどのことがない限り変えないですし、ましてや何十年も同じ教科を教え続けている先生であれば、そのスタイルに問題を感じなければICT支援員に相談することはないと思います。
先生の相談をまとめると、以下のようになります。
- 拡大印刷では理解が深まっていないと感じる
- 現在行っている指導方法を見直したい
- 簡単な方法でICTを活用したい
こうした「指導手段を変えてみたい」「もっと効果的なやり方をしてみたい」といったいわゆる「内発的動機づけ」が起きている先生のICT活用は、ICTに興味関心を持っている先生に一歩踏み出すきっかけにもなるため大変貴重な事例になります。
内発的動機づけが起きている先生に対するICT支援員の行動とは
内発的動機づけとは心理学の用語で
内発的動機付けとは、金銭を得るためとか、誰かに褒められたいという外側からの動機付けではなく、自分の内部から起こる動機付けであり、好奇心や探究心が元になっていることが多いとされています。
では、こうした前向きな先生に対してICT支援員はどのように対応すべきか。
私でしたらこのように進めます。
- 先生が描く理想の授業を伺い、イメージを共有する
- 先生の操作スキルを把握し、環境条件やスキルに見合ったソフトやハードウェアを実例を通じて紹介する。場合によっては教材準備を支援する
- 授業実施時、初めの数回は授業に立ち会いバックアップに務める
- 一番使いやすかったソフトまたはハードについての知識技術を深めさせ、自立に向けた支援に切り替える
まず先生がどのような授業を描いているかを把握し、先生とイメージを共有します。
次に操作する先生のITスキルを把握し、どのレベルまでなら操作できるかを判断した上で先生のご希望に添うソフトやハードを紹介します。
可能であれば放課後等に操作講習を行い、実際の授業イメージを掴ませます。ここで問題点等があれば洗い出し、解決に向けた支援をします。
準備ができたら授業を実践します。
その際支援員はバックアップとして立ち会い、何かあったときのフォローに努めます。
これらを数回繰り返します。そして先生から授業での課題を共有し、使いやすかったソフトやハードの知識技術を深めるための支援を継続します。
4については次回詳しく語りますが、要は「先生が独り立ちできる」ように行動していくことが大事です。
今回ご相談のあった先生の授業事例ならびに結果の考察はこちら。
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