ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

小2算数 しきつめをやってみて思うこと

こんにちは。所長です。

 

久しぶりに授業でICTを活用しましたので、そのレポートをご紹介しようと思います。

 

 

撤収寸前のWindowsタブレットと教材たち

現在、担当する小学2年生算数では三角形と四角形の単元をしています。

その最後にしきつめを体験する授業があります。

 

ICT支援員時代、しきつめができる最高のコンテンツ教材があることを知っていましたので、絶対使おう!と決めていました。

 

しかしかつて導入されていたWindowsタブレットChromebookの配布により今夏で撤収が決まっており、使えるかわかりませんでした。

 

パソコン室を覗くと、端末たちはまだありました。

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管理職の先生、ICT担当の先生に確認すると、使っても大丈夫との返事。

 

さっそく環境整備に取りかかりました。

 

人数は20数名分。

ログイン、充電、起動と動作の確認を放課後を使って黙々と作業しました。

 

数台CMOSエラーは見受けられたものの稼働に問題なし。

 

心の中で「頼む、最後に一花咲かせてくれよ」と願いました。

 

指導計画を考える

担任の先生に、明日はタブレットを使う旨をお伝えすると、了承いただくものの「作図が定着できていない」点を指摘されました。

 

確かに線と線がつながっていない、線が曲がっている等の問題がまだ残っており、当初デジタルだけで行こうと考えていましたが、指導計画を変更。

 

前半は教科書でアナログでの作図、後半はデジタルでの作図に計画を変更しました。

 

自分のクラスだけではもったいない、と思い、隣のクラスの先生にも「やりませんか?」とお誘いの手紙を残し、当日を迎えました。

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実践、そして私と担任の先生の所感は

出勤すると、隣のクラスの先生から「ぜひ!」のお返事が。

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急遽時間割を変更し、私の空き時間に隣のクラスでT.Tの形で実施しました。

ちょうどこの日はICT支援員さんもいたので、支援をお願いしました。

 

使用した教材は「学習探険ナビ」の「もようをつくってみよう」です。

 

最初に自分のクラス。

アナログでの作図を約10分設定し、直線描画の定着を徹底させました。

うまく書けない子どもには1マスの正方形を上下3個ずつ書かせ、できるようになったら長方形や直角三角形へとつながせました。

 

普段つまづく子たちもやることがわかると飲み込みは早く、徐々にエンジンがかかってきたように感じました。

 

そして後半はタブレットで。

操作方法を説明し、自由に作ってもらいました。

 

ここでも正方形からスタートし、慣れてきたら長方形や直角三角形にチャレンジしました。

 

隣のクラスでも同様に進め、和気あいあいとした一種の「ご褒美」ができました。

 

参加くださった算数を専門とする担任の先生が珍しく

 

「これはいい!折り紙準備するのが大変だったんだけど、簡単にできちゃうんだね」

 

と太鼓判。

 

授業が終わっても「やりたい!」声が続出だったので、担任の先生が後日時間を取ってまたやってくださるそうです。

 

もう一クラスでも同様に実践し、ここでは前半を担任の先生、ICT部分を私が担当しました。

 

実践して感じたことは以下のとおりです。

 

普段作図につまづいている子どもがデジタルになると、いとも簡単に模様をしきつめていた。

 

しきつめを利用したドット絵作成をする子どももいた。

 

クラスによって、担任の先生の色合いが大きく現れる。

 

どれも支援員時代に強く感じた印象でした。

 

定規を使って線を引くという操作は、子どもによっては結構至難の業のようです。

 

線を引こうとすると定規がずれる、引く力が足りなくて曲がってしまうように見受けられます。

 

それでも練習を積み重ねれば書けるので、「できた」体験をもっと増やしたいなと思った次第です。

 

そして何より、ICTを使うとあれだけ苦労していた作図がタッチ一つでできるため、自ずとしきつめへ意識が向き、アナログでは表現できない、子どもたちの内なるデザイン力が表出するのですから驚きです。

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ですので、ICTで表された作品を見て初めて「なるほど、この子はこんな表現をしたかったんだ」と気づけるのです。

 

他にも普段ノートも書かない落ち着きがない子も、タブレットになると集中が高まり静かに取り組めるのも、ICT支援員時代から変わらない一つの傾向だなーと思いました。

 

アナログだと時間がかかるけど、デジタルなら失敗を恐れなくていい。

 

発想も広がるようで、アナログでは考えつかないようなデザインも生まれました。

 

もちろんアナログにも美しく書こうとする意識付けや、コツコツ書き進める集中力を養いますので、私はどちらにも良さがあると思います。

 

実践を通して両者の大切さに気づけてもらうことも、この授業の隠れた目的と、私は位置づけています。

 

後世に残したいコンテンツ

さて、授業自体はほぼ成功し、満足なのですが一つ気になることがあります。

 

利用したコンテンツがこの先使えないことす。

 

本来であれば夏に撤収されているタブレットであり、利用はできないと思っていました。

 

それがたまたままだ撤収されていなかったため、運良く活用できただけです。

 

しかしこれだけ利用価値が高く、今後も活用したいと願っていても、使用期限が迫っていることを鑑みると、

 

普遍的に活用できる「後世に残したいコンテンツ」の整備

 

が必要と感じます。

 

私は技術者ではないので作れませんが、これからの子どもたちが、同じ単元で、同じようにこれらのコンテンツに触れ、一つの体験を通して何かを得られるってすごく大事な気がします。

 

これまでもいいコンテンツがあっても、技術面の問題で泣く泣く使用を諦めました。

特にFlashの終了は大きな損失でした・・。

 

今後学習はかけ算になりますが、かけ算といえば「勇者計算騎士ナリガイガー」や「かけ算ファイターさが」が有名ですがFlashのため使えなくなりました。

 

ですが調べてみたら、「さが」はプログラミング言語を変えてリメイクされているとのこと!!

 

land.toss-online.com

 

これは今後の活用への明るい光になりそうです!

 

コロナによるリモート学習、一人一台時代に突入し、デジタルコンテンツの必要性がますます高まっています。

素晴らしいコンテンツができる限り長く使えることを心から願っています。