ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

研究授業は等身大の時代へ

こんにちは。所長です。

 

先日、勤務校で研究授業がありました。

私は残念ながら準備等があって不参加でしたが、参観された先生が戻るなり私にこうお話されました。

 

「みやもとさん!俺分かったよ!Jamborardの使い方を」

 

ベテランの先生が、その授業をご覧になってなにか気づかれた。

これは相当な変化になりそう。そう思いました。

 

 

私が思う研究授業の意味

研究授業を行う際、最近はICT支援員の支援が増えています。

特にGIGAスクール構想によって一人一台となってからはその機会も増えていると思います。

 

研究授業について軽くご説明しましょう。

 

研究授業とは、その学校が設定した研究主題に対し、仮説をもとに、よりより授業を目指して実施されるものです。

実施する学年等は研究部会で決定し、指定された先生は研究授業を行い、校内の先生や学校が指定する講師の先生に参観してもらい、授業の改善と研究の成果に繋がせます。

 

そのため研究授業は、通常の授業と違い、少々着飾った内容になりがちです。

 

かくいう私も教育実習の最終で研究授業を行いましたが、かなり背伸びした内容でしたし、多くの先生に見られる緊張感でボロボロでした。

 

そんな恥ずかしい記憶が残る研究授業。

今回は少人数算数の先生が、6年生算数「角柱・円柱の体積」単元で、どの立体の体積が大きいかを意見交換しながら求めるものでした。

 

その意見交換で使われたのがGoogleの「Jamborard」だった訳です。

 

そして戻ってきた先生が私に伝えた言葉の意味。

これこそ、私は研究授業の本質だと思うんです。

 

背伸びした研究授業は、他の先生に真似されにくい

私もそうですが、つい見栄えをよくしよう、とかでICTを使おうと考えてしまいます。

 

ノートや板書で実現できることを、タブレット端末でやろうとしていないか。

児童生徒の実態に即しているか。

 

背伸びした授業案を考えると、操作等で手間取ったり思い通りの結果が得られなかったりするだけでなく、参観された先生は感嘆されてもその後の普段の授業で実践してもらえない。

 

つまり

 

「真似されにくい」授業

 

となってしまうのです。

 

 

今回の授業はICTの活用が主題なのでICTが主役です。

となると逆に、どの学習活動ならICTの良さを活かせるか、がポイントになります。

 

先生はまず、Jamborardの基本操作と特性を学びました。

そこで意見交換に特化していると感じ、単元の最後である「考え方の共有」を研究授業に当てました。

Jamborardは既に子どもたちも何度も活用していて慣れていることも選考基準になったようです。

 

このように、研究授業を実施する上で大切なのは、無理やりICTを使うのではなく、

 

それぞれのソフトやアプリが持つ特性やメリットを知った上で、どの単元のどの活動でならその効果を最大限活かせるか。

 

本当にアナログよりもデジタルなのか。

どちらが学習効果を増大させるかを比較して選定する。

 

が大事です。

 

かくいうICT支援員時代、ついついICTの物珍しさや自分の貢献事例を求めて先生に「ICT使いましょう!」と推し進めましたが、今思うと全体が分かっていないのにひどいことをしたなーと反省しています。

 

なのでICT支援員も先の授業を実施する上で絶対に曲げてはいけない部分を理解した上で、どのコンテンツなら学習効果を引き出せるかを一緒に考える必要があります。

 

もしそれが背伸びしているようであれば、一度見直してみるといいと思います。

 

等身大の研究授業がもたらす影響は計り知れない

さて、先の開口一番Jamborardの良さに気づいた先生。

早速使ってみたい!そう私におっしゃっていました。

 

経験上ですが、こういう感想、案外聞かれないものでした。

逆にこんな意見が多かったです。

 

「面白いんだけど、自分の授業スタイルに置き換えられない」

「その授業だけにしか使えないイメージ」

 

それではせっかくの研究授業の意味がありません。

 

本当にICTの活用を促進したいのであれば

 

真似しやすい授業がICTの活用を広げる

 

ものじゃないかと思います。

 

どんなにICTの持つ機能が優秀でも、どんなに素晴らしいコンテンツがあったとしても。

 

普段使いできなかったらだめなんです。

 

等身大の授業こそ、本当の研究授業だと思います。

 

 

授業を見て、参考になった、勉強になった、同じようにやってみたい。

 

こういった意見や感想が出なくては、実施した意味がありません。

 

先生が日常的にICTを用いることによって、先生の情報活用能力は向上します。

そして児童生徒の情報活用能力も向上させます。

 

ICTが物珍しい時代は終わりました。

背伸びはもういりません。

誰でも実践できるツールでよりよい授業改善を目指しましょう。