ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

アナログとデジタルで育む、表現の力②ICTで活性化した表現力

こんにちは。ぐうぽんです。

5年国語「この本、おすすめします」を実践してみて思ったことを書いていますが、今回は後編。

前編はこちら。

ict-edulab.hatenablog.com

 

清書でChromebook大活躍!

下書きが完成した子どもたちはクラスルームへアクセスし、ひな形への清書入力に取り組みました。

ここでの重要点は

 

・おすすめする相手を意識する→表現方法の工夫
・文字の大きさ等の体裁
・見やすく、分かりやすく、その本を読みたくなるような推薦文の作成

 

入力できたら一旦提出してもらい、こちらで修正コメントを入れて返却、の手順を繰り返して完成を目指しました。

 

中には授業中、手を抜く子もいるので、

 

「おーい、清書はこの時間しかないからね!この時間で出せてないとアウトだからね!」

 

と声かけすると子どもたちは「やっべ!」と気持ちを入れ替え、必死で取り組んでくれました。

早く終わった子たちには、終わっていない子たちへの手伝いを促し、全員が提出できるよう指示。
終了後クラスルームを見ると、ほぼ全員が推薦文を提出してくれました。

完成した推薦文

最後は提出されたドキュメントを印刷し、班の中で相互評価。

 

評価観点を3つ指定し、それらができているかをA.・B・Cで評価。
理由も記入するよう指示しました。

その際、良い点→修正点で記す「Yes~But法」を用いること、必ず良い点は書くように促しました。

見合う作業は、友達同士適切なアドバイスを伝えるよい機会になりました。



こうして無事、1ヶ月に及ぶ6時間の単元は完走し、1学期に成し遂げられなかった単元を補えました。

 

授業を終えて

終了後、確認作業をしていると隣のベテラン先生がやってきてワークシートを見ました。

 

「これ、すごくいっぱい意見書けてますね」

 

お褒めの言葉をいただきました。

作った枠に収まりきらないくらい具体的な意見を書いていたのは、おそらく初めてだと思います。

 

学習計画の明確化
作業を1時間ごとに区切り、メリハリを持たせる
構造に合わせて内容をまとめる
これらを結んで下書き、清書につながせる

 

そして何より思ったのが、普段鉛筆が動かない子がChromebookではイキイキと入力し、いつもよりも深い考えや内容が表現できたこと。

 

不思議とそういった子が必ず一人は現れます。

おそらく書くよりも打ったほうが体に合っているのかもしれませんが、こうした子どもの特質を教員は見逃さず秀でた能力として認めるのもとても大事だと思います。


この活動で少しでも自信を持ってくれたら嬉しいです、

「相手の立場に立って表現する」重要性

子どもたちのふり返りを見ると、ほぼ全員が「相手の立場に立って表現する」意味と重要性を実感していました。

 

1つ前の単元は先生に感謝の手紙を書く活動でしたが、そこでは個人ではなく班ごとだったので、執筆に関わった子だけが実感し、全員に経験が行き渡らなかったと感じていました。

 

しかし今回は全員が対象、伝える相手は下級生であることから、自分が普段から使っている言葉や表現では問題が生じることに気づくことができました。

 

さらに他の人の推薦文を見ることで、自分に足りなかったこと、真似したいと思う表現に出会うなど、この単元で子どもたちは想像以上に多くの学びを得たと実感しました。

 

思いを伝えるとなると、どうしても自分目線で表現してしまいがちです。


しかし読み手が自分より下だったり、もっと上の世代だったりすると・・と考えたら、表現方法について一歩立ち止まれるように感じます。

 

この文章もそうですが、

 

筋道を箇条書きするなどして流れを構成する
思ったことを書く
読み手のことを考えてもう一度再考する
友達から意見をもらうなど表現上の問題がないか考える→校了

 

こうした一連の流れは、リポートの構成に近いですし、何より活動全般が社会で言う「プロジェクト」そのものだなあと思いました。

 

経験を重ねて、社会に通用する力を習得する

見てくださった先生が「これこそ社会に出て必要な力よね」とおっしゃっていたのですが、本当にその通りだと思います。

 

紙ベースで順序を作り、必要な情報を集め、下書きして、問題があれば修正してパソコンでの清書に持っていく。問題なければ提出。


合わせて納期を守ることの重要性、周りの人と協力して取り組むなど、一般的な業務の流れも授業で実体験できたと思えます。

 

学校は社会へ出るための準備機関とは、教職課程のテキストで学んだ記憶があります。
特に近年の学習指導要領はその傾向にあり、昔に比べて実践的な内容が多いと感じます。



早い段階から具体的な活動に触れておくと、社会での即戦力になれる。

そう私は思いました。

 

そして情けない話ですが、この単元でようやく担任の先生たちと連携を深められました。

 

授業は一人で行うものではなく、たとえ指導は一人でも必ずバックボーンがいる。
だから悩むことなく色々相談してもいい。

 

やっとそう思えるようになりました。

 

立場上や環境的に人に頼るのが難しい職場なのでつい(一人で何とかしてやるわ)と抱え込んでいましたが、時にはえいやっと周りに助けを求める声を出す勇気も大切。

それが私にとって、この単元での大きな学びでした。

 

もっと周りと連携できたら図書室に掲示するなど活動に意味を持たせられたのですが、そこまで出来なかったのは力不足でした。

それでも本当にここまで私も子どもたちも達成感のある単元はなかったです。

頑張って良かった・・