ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

【算数】角と角度とICT活用

新型コロナウイルスの影響で途中終了した前回の算数担当から4ヶ月。7月から私は再び算数の講師として別の地域の小学校で勤務を始めました。
1学期が終了しましたので、ここまで実施した2単元の活動と気付きをまとめようと思います。

 

 子どもたちとの距離が・・

 

現在は1学年だけを担当していますが、たった3ヶ月の経験しかない状態でしたので担当が決まったとき、多少の不安と当時の授業感覚をほとんど忘れてしまっていました。

 

引き継いた最初の単元は角と角度。今回も教科書の指導書を参考にPowerPointのスライドを作成。
しかし授業を進めるものの、どうも子どもたちの心を掴みきれていない、単に授業を進めているような感覚が消えないのです。

 

子どもたちとの距離もあまり縮まらない。授業後に話しかける子どもはいるものの距離を感じる。
淡々と進む授業。発言数も少ない。

なぜだろう?地域性?それとも習熟レベルの違い?
いろいろなことを考えました。

 

解決できない問題を解決しよう。
前任校で実施していた当時の教材を見返してみました。
そこでなぜ心を惹きつけられないのかがわかりました。

 

身近じゃない図形を、身近な存在にするには

 

角や角度は図形領域であり、子どもから見ると少々身近な存在ではないこと。
分度器を使って角度を測る。90°と180°、360°があるといった形式に則る単純作業に気づいたのです。

 

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面白みがない。それも導入の時点でこれはどうなのか。大きさを測ることがお題目だとしても、果たして自分が小学生ならこんな作業は面白いか?

 

・・面白くない。

 

子どもの表情や行動は、先生の指導の鏡だと思います。。
面白くない内容なのに、子どもたちは聞いてくれて、授業を受けてくれている。
少々無理をしながら。

 

これではいけない。
子どもたちの周りに角度に関するものはないだろうか。
その視点の変化が、後々大きく授業を変えていきました。

 

子どもを引きつける、生活の中の図形

 

学校の入口に坂がありましたので、これを撮影しました。
さらに身近な角度とはなにか?問い詰めた結果、スロープの存在に気づきました。

 

これらを授業で提示すると、子どもたちは「見たことある!」「駅とかにあるやつだ」
率先して授業に参加し始めました。
さらに画像から坂の角度を測ってみようと投げかけ、子どもには予想を立てさせました。

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「40°」「いやもっと小さい?」「10°くらいかな?」

 

直線を引いて、分度器で角度を測ると、そのあまりの小ささに驚く子どもたち。
そして30°や45°がどれほどの大きさなのか、分度器で板書し見せると「そんなの登れないよー」「案外角度って小さいんだね」と様々な気付きの声。

 

角度の感覚が徐々に養われていくを感じましたし、なにより身近な存在と学習内容を結びつけることがいかに重要なのかを感じました。

 

単元としては後半、それも終わりに近い状態でしたがここから一気にスパートがかかりました。

 

子どもたちが近づく、楽しい算数への第一歩

 

授業での発言も増え、静かに見ているだけの子どもにも発言の機会を与え、発表するときは全員で見守るといったルールも確立し始め、自分なりの授業スタイルができつつありました。

その後の単元テストは1つ目としてはまずまず。悪くはありませんでした。

そして間髪もなく次の単元に続くのですが、それはまた次回に。