ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

【5年算数】図形の面積ふりかえり

こんにちは。所長@冬休み中です。

2020年も残りわずかですがいかがお過ごしでしょうか。

今日も指導のふりかえりをしてみます。

 

図形の面積単元は、平行四辺形、三角形、台形、ひし形の面積を求める学習です。
これは私の観点ですが、いわゆる図形領域こそICTの効果を発揮できるものと思っています。


私の指導は既存知識を引き出すことを前提にしていますので、導入としてまずこれまで学んできた図形を提示し、この中から面積を求められる図形を出してもらいました。

 

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この時点で習得しているのは長方形と正方形だけ。面積の公式も思い出してもらいました。そして本題について説明し、学習課題を持たせました。

トップバッターの平行四辺形の理解については過去のブログをご覧いただくとして、今回はその後の活動についてまとめます。

ict-edulab.hatenablog.com

 

 

重要部分はアニメーションで動かそう

 

平行四辺形の公式は底辺×高さですが、指導をしていて多く見られたのが高さを正しく読み取れない点でした。

 

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4年生の「角と角度」単元で、垂直な直線に交わる2本の直線は平行と学んでいます。

平行四辺形は長方形の変化した図形なので、たて×横の公式に当てはまると高さは垂直と捉えることができます。

そのため斜めの辺は高さに当たらないのですが、子どもはどうしても目に飛び込んでくる辺だけを見て求積する傾向にあるので、一歩引いた視点が重要になります。


そこで、高さは底辺に対して垂直な直線という定義を習得させるため、図形にアニメーションを加えて高さに対する認識を持たせる工夫を施しました。

 

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イメージとしては底辺に対してまっすぐな線、そして底辺と高さは必ず直角の関係にあることで、これを何度も何度も説明しました。

そのおかげで底辺に対する高さの捉え方はほぼ定着できました。

 

ICT活用で図形の応用力を身につける

 

平行四辺形でも活躍した学習ソフトは三角形、台形についても活用しました。

 

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もちろん毎時間、求積公式は確認をして定着を促しました。

 

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タブレットも回を重ねると操作にも慣れてきましたし、求積公式を思い出すことで「台形を2つに増やすと平行四辺形にできる」「切り貼りすれば長方形にすることもできるよ」などの意見が自然と飛び交うようになりました。


また私から促さなくても子どもたちは主体的に活動し、最終的には応用力と柔軟性のある思考ができるようになりました。

改めてICTの力を十分に感じ取りました。

 

もう一つの立役者、書画カメラ

 

私の授業の主体はPowerPointですが、内容によって先の学習ソフトも使います。

そしてもう一つのツールである書画カメラの活用もあげておきましょう。

 

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ICT支援員時代もそうでしたが、書画カメラはどうも先生方にとってどういうものかイメージしづらいようで、多くの学校でお蔵入りしていましたので、率先して活用しています。


本単元では先の平行四辺形を長方形に変える作業を紙媒体で行ったとき、ノートに貼り付けた図形を拡大表示し、他者の考えに触れさせる指導に活用しました。

自分とは違う表現があることに気づかせることができたので大変役立ちました。

 

 

ICTというと、どうしても大がかりな準備等が必要と思われがちかもしれません。

しかしそれは間違っていて、ちょっとした機材一つでも使い方次第で十分効果を引き出すことができます。

たった3分、ノートを提示するだけでも立派なICT活用です。

 

ただ、そこで一歩引いてしまうのが失敗への怖さだと思いますが、正直言って失敗してもいいのです(子どもたちは温かく見守ってくれます笑)。

 

むしろチャレンジが大事で、チャレンジによって初めて成果と課題が見つかります。

 

私でも上手く行った日もあれば、反応が薄くて反省する日も多々あります。

ICTのみならず授業とはそういうものだろうと感じています。

 

ICTに二の足を踏むのではなく、活用の一歩を踏み出してほしい。

その一歩がいつしか指導の改善になり、授業改善につながります。

 

今年は教員業務が多忙のため更新が滞りましたが無事2020年を終えられそうです。

 

来年も読んでくださる皆様へICT活用の有益な情報共有ができるよう活動していく所存です。

 

来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

【関連記事】

書画カメラの活用について解説しています。併せてぜひご覧ください。

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