ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

情報教育、専任してください!

現在私は小学校2校で算数の時間講師をしている傍ら、情報教育に関する指導も限定的に行っています。


今回はその経緯と実践してみての印象、専任化に向けての思いを書きます。

 

 

初の情報教育の継続的指導

私が情報教育についても指導を・・と依頼を受けたのは1学期の終わり。そこで指導計画の作成も依頼がありました。


受け持つ学年は中学年。そのうちの主に4年生だったので、

 

  • 「プログラミングがどういうものか」

  • 「5年算数 正多角形と円でプログラミングが必須項目に上がっているので、それに向けた土台作りをしてほしい」

 

という希望がありました。

 

ICT支援員として数年プログラミングに関わる部分は支援してきていたので、そのときの流れを計画として再構成し、中学年の先生方と検討改善を繰り返しました。

 

もちろんプログラミング以外のこれまでの情報教育で行われてきたキーボード入力、PowerPointを筆頭とした文書作成、情報モラル等も加味し、3学期までの実施内容を策定しました。 


研究授業を兼ねたプログラミング授業

 

授業は2週に1回、2時間実施するということで計画を立て、2クラスを交互に指導しました。

 

「はじめの一歩」では、コンピュータが日常生活に密接していること、プログラミングはそんなコンピュータたちを思い通りに動かすための手段であることを概説し、プログラミングをしてみようという学習課題を立てて活動しました。


次の時間では、2人1組になってもらい、一人が考えた動きのプログラムを、ペアの相手が読み取り正しく伝わったかを確認し合うアンプラグドで、プログラミングの意義がどういうものかを体験してもらいました。

 

この時間は研究授業を兼ねており、多くの先生が入れ代わり立ち代わりご覧になる状況でした。

 

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元々特別支援学校の子どもたちに向けた事例で、器具を使わず運動を兼ねたプログラミングができるので面白いと思い実践してみたのです。


やってみると、「あれ?どんな動きにしたっけ?」と自分の作ったプログラムがわからなくなったり、読み取ったプログラムを確認しあって「おお!完璧!」と喜び合ったりする光景がいくつも見受けられました。

 

後半では実際にビジュアルプログラミングに触れさせました。

使ったソフトはViscuitで、オーソドックスのしゃくとりむしを体験しました。

子どもたちはどんどん創造力を発展させていき、基本の形から思い思いの絵を加えて動作をプログラミングしていきました。さらに時間が経過すると席を移動して友達の作品を見合ったり、表現できない動きを友達と協力して実現させたりしていました。

 

次の時間では、さらに論理的思考を深めるため、プログラムを構成する3つのきまりをHour of Codeアルゴロジックで体験しました。

 

理論的な操作に変わったためどうなるかと思いましたが、コツを掴むと子ども同士で情報交換して課題をどんどん解いていったので、先生も私も驚きました。

 

段階的に学んでいったプログラミングも最後はmicro:bit、Scratchでの模様作りと続いて、指定された10時間の授業は終了となりました。

 

micro:bitとScratchについては別にまとめるとして、とりあえず一つの結果は示すことができました。

 

課題としては、2学期の殆どをプログラミングに費やしたので、系統的に考えると領域ごとに分散させるべきだったとか、活動によって子どものプログラミング的思考は養われたのか検証できていないとか色々あります。

成果も課題も次年度の改善点として心に留めておきます。

  

情報教育はそろそろ専任の時代かも

 

もうかなり前、ICT支援員として活動していたとき、一人の先生から言われた言葉があります。

 

「できるなら、みやもと先生に情報教育に関する部分を全学年お願いしたいよ。カリキュラムとか作ってもらって」

 

その時はまだ教員免許を持たない身分だったので、内心やりたい!と思いつつそれは無理でしょうと笑って済ませましたけど、後に先進的な事例として活動している学校があると知ったとき、先生の一言はあながち夢物語ではないんだと感じたと同時に、いつか自分も関われたら・・と思っていました。

 

そして今回、漠然と願っていた情報教育を1学年だけですが継続的に担うことができたのは、私にとっても大きな一歩だったと思います。

 

なお今回は、初任の先生の授業負担軽減措置によって成り立った事象なので、いわゆるテストです。

 

ですので条件が合えば、今回のように情報教育を一部でも、全てでも専任することは可能のようです。

 

この事例はまだ先進的かもしれませんが、担任の先生の負担を軽減する上でも、専門的な分野として鑑みても、専任はそろそろ検討すべき状況にあるのかもしれません。

 

ちなみにこういった事例を他校に紹介すると、結構前向きに捉えてくださります。

 

まあ実現までには色々障壁があって困難を極めますが、あながち学校側も同じ思いは持っているようですので、実現は教育行政次第というところでしょうか。

 

校務分掌として情報教育担当を配置するだけでなく、総合の一つとして専任化するのも一つの方法としてあり得る。

 

この事例が、今後広がりを見せると嬉しいですね。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。ご参考になれば幸いです。