ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

【東京都青梅市】第2回情報教育推進委員会 プログラミング教育研修


7月23日、市内第二中学校を会場とした第2回情報教育推進委員会の講師を担当しました。
参加された先生は小中学校合わせて25名ほどで、パソコン室がほぼ埋まるほどの盛況でした。
今回はそのご報告をします。

 

 

研修会の開催経緯



今回の研修会の発端は私からの提案でした。
ちょうど隣町で同様の研修会が既に予定されており、その件をお話したところ早急に対応する必要があるとの見解に達し、実施へと至りました。

7月上旬、市役所にて打ち合わせを行い、その際教委様からこのようなご要望がありました。

・90分間を予定している
・体験の時間を多くしてほしい
・市としてはScratchを使えるようにしてほしい
・次年度に向けてmicro:bitの各校配布を考えている
・一つの授業モデルを示してほしい

これを受け、前半を理論編、後半を体験編として構成し、Scratchを使った5年算数多角形を体験してもらう内容で了承いただきました。



 

当日までの準備



配布資料等は2年前に作成したものを修正、再編集しました。またScratchが現在のバージョン3.0ではInternet Explorerで動作しない旨を教委様にご連絡し、業者様立ち会いの元、前日にオフライン版を入れていただき動作確認をしました。

その他にも研究所のチラシやたまなびラボの次回開催告知なども用意し、当日を待ちました。

 

研修会当日は



当日は委員会所属の先生以外にも指導主事様、業者様、ICT支援員など数多くの方々が集まりました。
理論編では新学習指導要領が求めるプログラミング教育の目標や資質能力、小中高で一貫したプログラミング教育の概説をお話したあと、フローチャート作りを体験していただきました。


一日の行動を細分化し、フローチャートで表すことは先生方にとって新しい体験のようで、真剣に取り組まれていました。
中にはこの活動を通して行動のパターンを見出し改善を図ろうと考えられた方もいらっしゃいました。

後半はScratchの体験を行い、基本操作を学んだ後5年算数多角形を実際に行っていただきました。
正方形、正三角形といった図形をどのようにプログラミングすれば描いてもらえるのかを考え取り組んでいただきました。

きれいな図形を描かれている先生もいたり、時間が進むにつれて隣同士や近くの人同士で相談したりする光景が見られました。

研修会を終えて



こうして1時間半の研修会は無事終了しましたが、その後も私が持参した書籍をご覧になったりアンプラグド教材に触れたりする先生や、プログラミングの授業をどう進めたらいいか相談に訪れる先生などありがたいことに延長を余儀なくされるほどでした。

その反面、質疑応答で中学校の先生から技術科の内容が高校から上がってくるためフローチャートは小学校段階で学ばせておいてほしいといった要望から、文部科学省が掲げているプログラミング教育は果たしてスムーズな接続なのだろうかと考えさせられる部分もありました。こういった部分も今回、小中学校の先生が合同で学び合えたから見えた課題とも捉えています。
また今回は理論を含めた第一弾だったこともあり、時間の都合上具体的な授業事例や指導方法までお伝えできなかったのも反省点でした。この件については後日教委様にお伝えしました。

そして研修会で印象に残ったのは、ある管理職の先生が初めてScratchを体験され、プログラムを組まれた際私のちょっとした助言からフローチャートの効果とプログラムの簡略化にお気づきになり「なるほど!」とニコッとされたことでした。

プログラミングの授業ではこのような光景が多く見受けられます。
この「なるほど!」こそが、支援員時代も含め私が感じているこの仕事の醍醐味だと思っています。
子どもであれ大人であれ、新たな気付きがあることで、もっと知りたい学びたいという欲求が生まれます。プログラミングがこういった気付きを助け、新たな概念を生み出し学習の理解を深める。そんな体験を一人でも多くの人に感じてもらえるよう、当研究所はこれからも先生方へ研修会を通じた支援も進めていきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。ご参考になれば幸いです。