ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

関西教育ICT展レポート

8月2日~3日にインテックス大阪で行われた関西教育ICT展に今年も行ってきました。
そのレポートをしたいと思います。

 

 

 

和歌山大学 豊田先生のお話から



現地には10時過ぎに入りましたが、聞きたいセミナーまでに時間があったためブースを回っていたら、和歌山大学の豊田先生がプログラミング教育についてお話されていました。

その内容の中でなるほど、と思ったのがいくつかありました。
まずフローチャートの書き方について、よく分かりやすい形であれば形式にとらわれないと書籍等で説明がありますが、先生はむしろこの時期からちゃんとJIS規格に則った正式なやり方を学ばせたほうが今後の活用を考えるとメリットがあるとおっしゃっていました。その際書くのが難しいのであれば処理や分岐パーツなどをシールとして準備しておくという方法も紹介していました。私自身ちょうどフローチャートを学ばせるには正式にすべきか、すこし崩した形にしたほうがいいか迷っていただけに、この方法はすごく参考になりました。

そして豊田先生からは他にもこのようなお話がありました。

・グループで学ぶことも大切だが、個別学習の方が満足度が高くなる傾向にある
・算数、理科に入らない内容を総合で実施するなら少し大胆な内容を行うべき
・プログラミング教育を通じて、子どもたちに少し先の未来を見据えてもらいたい
・教科単元の理解も重要だが、なにより楽しく学べる授業を


 

ICT活用、はじめの一歩と次の一歩



今回はプログラミング教育よりもICT活用に関する情報が欲しかったので、こちらを受講しました。
概要としては

・最初LANなしiPadを導入し、グループでの動画中心活用だったが現在は一人一台を目指している(名古屋市
・産官の力を借りてフルクラウドを実現。活用が高まっている。活用に制限ばかり入れるとやる気を失う子どももいる佐賀県多久市
・実社会に即した課題を与える、繰り返しが容易なICTの良さを活用している(千葉県柏市
・一斉講義型からの脱却を図り、1分程度の動画を作成活用している。先生が1から10まで教えるのはつまらない。子どもに預けた授業が望ましい京都府丹波篠山市

 

所長の感想



様々な自治体が行っているICT活用に関する事例を伺うことが出来て、とても参考になったというのが第一です。
機器類に予算をかけて良いものを導入する、または大企業の力を借りて整備する一方で、柏市丹波篠山市のように機器類に大きな予算はかかっていないものの、自治体レベルで工夫をこらし活用を促しているところもありました。
どちらがいいという判断は地域性などもありますのでしませんが、こうした事例を知ることで、では自分たちのところではどうしたらいいか、活用をもう1段階上げるにはどうするかを考えるヒントになれば、と思っています。

一番印象的だったのは丹波篠山市の先生で、ベテランであるこの先生が「ICT活用を広げるには自分たちのような先生の力が必要」とおっしゃっていたことです。
すでに指導に関する知識スキルをお持ちのベテランの先生の多くは、ICT活用を否定的にお考えになっています。
しかしそのスキルにICTを加えることで、指導力はさらに上昇します。
使ってみたらとても授業の密度を濃くことが出来た、時間配分が変わり生徒指導の時間が多く取れるようになったなど、その効果実績は多くの自治体で聞いています。

また名古屋市の先生がおっしゃっていたICT活用は大きな単元ではなく、学習活動で最も多い整理分析に活かすことで活用の常態化を促せるといった発表も素晴らしかったです。

引き続きICTを特別な道具ではなく、鉛筆ノートレベルにまでハードルを下げられるようにしていきたいものです。

ご参考になれば幸いです。