今回は、学校教育の中でICTを活用するための知識と課題についてまとめてみたいと思います。
ICTの特性を知っておこう
授業でICTを取り入れるためには、まずICTが持つ特性を知っておく必要があります。
これは私が大学の卒業論文でまとめた、主な授業で用いられている機器やソフトの特性について記載したものです。
ICTというとどうしても「なんでもできる魔法のツール」「子どもの興味関心が高いからパソコンさえあれば率先してやる」といったイメージを持たれると思いますが、授業の展開次第では全く効果をもたらさないこともあります。
そのためにはまずICTのそれぞれが持つメリットデメリットを理解することが大事であり、それを踏まえた上で
(1)学習者である児童生徒の実態を把握する
(2)教科学習と情報活用能力との連携を図る
(3)めあて(学習目標)の達成を大前提に授業構築を図る
ことが大切です。
特に(3)のめあて達成が重要です。
ICTを用いるとなると多くの先生がICT中心の授業構築へと陥りがちになります。
この授業で何を目指したいのか?何を子どもたちに習得してもらいたいのか?
この大前提を崩すことなくICTありきの授業にしないことが、ICTの効果を十二分に発揮し、なおかつ大きな学習効果をもたらすのです。
ICTが広がらない原因
次に、授業でのICT活用が広がらない原因についてまとめます。
その原因としては主に以下の4つが考えられます。
①教員の多忙
②間違った見識
③教員にとって使えない機器類
④整備ありきのICT
まず①については準備に時間が取れない、教材研究に時間が取れないといった教員自身の問題。
②はICTがあれば何でもできると思い込んでいる問題。
③は機器類の数が少ない(例:プロジェクタが校内1台、実物投影機が校内1台など)、そもそも使い方が分からない、難しいといったソフトやハード面の問題。
④は③にも関連している導入に関する問題で、これが結構大きな課題だと思っています。
こうした課題を解決するには
①では根本的な勤務形態の改善や機器類活用研修の実施、ICT支援員などの活用を図る
②ではICTが万能ツールではないことを理解し、あくまで教具としての意識を持つこと
③④ではやはり第一に現場の声を教育行政が反映することに尽きます。
ICTは「導入すればいい」というものではなく、活用することが前提です。
そのためには現時点での教員や子どもたちの活用実態を把握し、その上で予算との兼ね合いを図り、最低でも5年先を見据えた上での機器選定が求められます。
また導入後の活用率調査を適宜行うなど常に活用に向けた改善策を施すことも必要です。
いかがでしょうか。
ICTの活用については長年の懸案事項であることから、そう簡単に解決できる問題とは言えません。
しかしこのような課題を解決するには、教育行政と学校、業者の三位一体の連携が重要であると考えます。
それぞれが縦割りの考え方ではなく、子どもたちの深い学びを目指すといった統一した目標に向けて協力することでこの課題は乗り越えられると思います。
そして限りある予算の中で、教員にとっても子どもにとっても使いやすく扱いやすい機器の導入を目指すことが、授業でのICT活用の第一歩であると私は思います。
ご参考になれば幸いです。