ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

【活動FB】実施で満足の講習会から先生の心を掴む講習会へ

活動報告書の読み返しを続けていると、様々な気付きがあります。

そして提言したいことも生まれてきています。

今回はリプレイスに伴う導入講習会を中心とした、先生に向けた講習会や研修会のあり方について書きたいと思います。

これは小中学校だけでなく、全ての教育機関で考えられる事象だと思います。そのため結構言いたいことを書いています。あらかじめご容赦願います。

 

 

そもそも「講習」と」「研修」の違いとは

記事をアップする直前、この言葉の違いが気になったので調べてみました。

 

講習とは

講習会とは、学問や技術などを習得するための集会を言います。1人または数人の講師の指導の下、受講者がものごとを集中的に学ぶ集まりのことです。

講師から実践的に習うことに主眼があります。単に知識を得るだけではなく、それを実際に使えるように、実践的な練習や実技を伴うことが一般的です。

 

一方の研修は

ある目的のために必要な知識・技能を習得するための集まりを言います。

 

出典

business-textbooks.com

 

最近は「講習」「研修」の境界線が曖昧だそうなので、今回は「講習会」名称で語りますが、「研修会」でも同様と考えていただければと思います。

 

5年に1回行われるリプレイスとそれに付随する導入講習会

学校では一定時期が経過するとリプレイス(機器入れ替え)が行われます。

 

学校で使われているICT機器類はおよそ5年スパンで新しい機器に入れ替わります。

リプレイスは主に夏休みの長期休業期間中に行われ、そしてリプレイス後には導入講習会があります。

基本的に全ての先生を対象に、教育委員会が各学校にインストラクターを派遣し、1時間~2時間程度でそれぞれのソフトやハードに関する基礎技術を提供します。

ICT支援員も後方支援の形で入ることもありますが、校内研修だと講師をすることもあります。

 

活動報告書の中から、中学校で支援した導入講習会の報告がありました。

 

【コンテンツ】新規導入機器、学習探険ナビ、SKYMENU
【主機能】プロジェクタ、書画カメラ、学習探険ナビの概要、操作手順説明、Sky株式会社様によるSKYMENU操作講習。参加人数30名以上

 

このときは、SkyさんがSKYMENU、私がそれ以外を担当し、結構盛りだくさんな講習会を実施しました。


実際ソフトやハードを触っていただくと「へえー」「すごいねー」「使ってみたいねー」と物珍しさからか、その時点での先生方の反応は概ね好評です。

終了後も数名の先生が残って質問するなど実施を支援する立場としては結果を出せたと安堵したものです。

 

導入講習会から活用へ至れないその理由は?

しかし問題はここからなのです。

 

講習会を行っても、実際活用が広がったかというと正直少ない印象を受けています。

もちろん講習会をきっかけに実際授業活用に至った例はありますが、あくまで私の主観ではどの地域でもそれほど定着できていないように感じます。

 

その背景はなにか?私なりの分析ではこのように考えました。

 

  • 先生の中では「面白いね」で終わっている
  • 実際の授業イメージとつながっていない
  • ソフトやハードに対する応用性が見えてこない

 

もしかしたら実施したから満足しているのではないか?

 

活用に対してそこまで求められていないのではないか?

 

講習会を何度も支援するうちにそう思うようになってきました。

 

日常的活用へと導く講習会を目指すなら

今一度、講習会について考えました。

 

一体講習会はなんのために行っているんでしょう。

ICTを日常的に活用できる先生を増やすためではないのでしょうか。

それなのに、1回だけ、形式だけの講習会でいいのでしょうか?

 

そう疑問に感じています。

 

支援員を通じて、先生として現場に携わってきた中で講習会を鑑みたとき 


本当に先生の心に、ハートに突き刺さるような使い方が示せてないのではないか。


先生の中に授業で活用している風景が頭の中に描けていないのではないか。


この部分を解決しない限り、授業でのICT活用は広がらないと思います。

 

 

そんな中で私は、講習会は

 

「ソフトやハードの使い方」に加え事例を体験しながら「このソフトやハードを使ったらこんな授業が展開できますよ」

 

といった、いわば模擬授業的な内容にしたほうが、断然先生たちのハートに響くのでは、と感じたのです。

 

その考えに至った事例が小学校で行った校内研修でした。

 

【コンテンツ】電子黒板、デジタル教科書
【主機能】電子黒板「パナボード」の操作説明、授業での活用方法ご紹介、国語デジタル教科書の紹介と先生による模擬授業をしていただいた。

 

今振り返ると模擬授業スタイルは通常の講習会とは一味違う面白い形になりました。

内容が進むと生徒役である参加した先生から逐一「これはこうした方がいいんじゃないか」「これを動かしたらどうなるの?」とアドバイスや質問が徐々に飛び交うようになり、最後の方では実際に触りたいと手を挙げる先生も出てきて、笑いにあふれた講習会になりました。

しかしこれは簡便性に乏しい機器であったこと、一過性で終わってしまったことから継続的な活用には至れませんでした。

 

このことを踏まえるとやはり講習会は

 

1回限りではなく、適宜継続的に行い先生たちの指導方法を刺激するような形が望ましいのではないか

 

と考えます。

学校の勉強同様、定着は繰り返し行うことで実現するのです。

 

 

実施側、受講側が目的を持った講習会を

講習会や研修会はICTに触れられる数少ない機会です。

まとめると

 

実施する側としては、実用を意識した内容を。

受講する側としては、実際の授業活用を想定して。

 

限りある時間の中で、双方が目的を持った講習会が実施できたら、きっといい成果がもたらされるのではないかと思います。

 

 

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