ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

【活動FB】技術科だけに情報教育を任せない

ICT支援員を卒業して早2年になりました。

これまでTwitterFacebook、現場を通して現在活動されているICT支援員さんに向けたメッセージ的なものは発信していましたが単発で終わっていました。

ここで約10年に渡り書き続けた活動報告書の振り返りをようやくスタートできるようになりましたので、この中からICT活用に求められる声をフィードバックすることにしました。

 

 

活動フィードバック(FB)の主旨

 

自治体の教育委員会に毎月の活動を報告するため、所属していた会社では学校に訪問した際は活動報告書の作成が義務付けられていました。

 

この報告書から支援員として活動するときの何らかのヒントや活動のきっかけになるものがあれば、と考え、このカテゴリを立ち上げました。

 

ここでは

  • 実践事例
  • ICT支援員の認知に向けたメッセージや改善提言
  • 現場や教育行政に向けたメッセージ

 

を発信していく予定です。

 

なお最初にお断りしておきます。

論理的かつ理路整然とした記述を心がけますが、内容によっては気に障るような記述もあるかと思います。

あくまで私個人の主観である旨あらかじめご了承ください。

 

中学校における情報活用能力の低さ

 

まず当時記載した活動報告書の一部をご紹介します。

この自治体はICT支援員が導入されてまだ数年。当時はまだ小学校に支援員は配置されていないという状況です。

 

子供の情報リテラシーの低さが露呈したことから、3年生だけでなく1,2年生、小学校段階から日常的にパソコンと接する時間を設ける必要性をお伝えし、了承いただいた。

 

これは中学校で当時の技術科の先生と授業後の振り返りの中で挙がったお声から、私が先生に提言したものです。

 

授業は導入されている掲示板システムを使って情報モラルについて考えを伝え合うもので、授業自体は生徒同士の意見が交換できたことや、紙媒体ではなく掲示板を経由して文章として伝えることにより、送り手と受け手双方が注意すべきポイントを体験を通して学べたことが良かったと思っています。

 

その反面浮き彫りになったのが情報活用能力の低さでした。

 

普段からスマホには多く触れているもののパソコンと触れる機会は少ないためキーボードによる文字入力スピードは格段に遅く、そのため自分の意見や考えを画面上に入力したものの発信できず終了してしまう生徒が多く見られました。

 

報告にはさらに続きがあります。

 

現状技術科で操作面を学習している状況とのことで、今後他の教科や総合的な学習の時間でも率先して活用していただき、技術科の負担を軽減できるようご提案した。

 

つまり「情報教育自体が技術科を中心に行っている」状態であることが伺えます。

 

全ての教科でICTを活用する=情報活用能力育成を促す

 

小学校の場合、総合的な学習の時間を中心にパソコンの使い方を学びますが、中学校の場合、パソコンの操作に関する「情報」は技術科のD分野に属しているため、おのずと技術科で集中的に学習する流れになっています。

 

それ自体は間違っていませんが、私としては技術科だけに情報教育を一任するのは非常に負担が大きいと考えます。

 

情報に関する知識、技術、情報モラルといった「情報活用能力」は、2020年4月から実施される学習指導要領で「学習の基盤となる資質能力」の一つとして重要視ることが明記されています。

 

平成29 年3 月に小学校及び中学校の学習指導要領が,同年4 月に特別支援学校小学部・中学部の学習指導要領が公示され,「情報活用能力」を言語能力等と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付け,その育成を図るために,「各教科等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図る」

 

文部科学省 教育の情報化に関する手引 第1章より

https://www.mext.go.jp/content/20191219-mxt_jogai01-000003284_002.pdf

 

 

このことから技術科や総合的な学習の時間のみの活用ではなく、全教科においてICTの活用をする必要があると捉えることができます。

 

合わせて技術科のD分野はあくまで教科の一単元のため学習時期が限られています。そのため一時的に集中して操作等を学んでもそれ以降全く活用しなければせっかく学んだ知識技能も忘れてしまいます。

 

そういった点も鑑みると、技術科だけでなく各教科でICTを活用する機会を設ける必要があるのです。

 

もちろん先生は非常に多忙な状況であることは認識しています。

具体的な取り組みについては次の機会に語ろうと思いますが、まずは技術科に任せるのではなく

 

他の教科でも率先してパソコンやタブレットを用いた授業を実施いただく

→技術科の負担も減らせる

→生徒の情報活用能力の育成にも寄与できるのではないか

 

と思います。

 

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