授業というのは、一人一人の先生特有のスタイルが見えるので大変面白く感じます。
面白いというと語弊があるかもしれませんが、要は「勉強になる」という意味合いです。
さて、活動報告書を振り返るとまだまだ色々心に残っている活動が出てきます。
ここではラストの年に関わった研究授業から広がったICT活用について考えてみたいと思います。
研究授業をします。支援お願いします。
この年の最も大きな支援活動は、中学社会科の研究授業を支援したことです。
先生は2年ほど前にこの学校に異動され、私の隣の席だったため、色々とお話をする機会がありました。
そして前々から先生にはベネッセの「ミライシード」を紹介しており、興味関心を持っている状況でした。
ある日、その先生から相談が、とお声をかけられました。
「実は研究授業をすることになりまして。それもICT活用前提なんですよ。」
内心(よっしゃ!このチャンス逃してなるものか!)と心踊りましたが冷静に対処。
「そうですか。で、先生としてはどんな授業をご検討していますか?」
「ちょうど時期的にディベートをやる頃なんです。例のソフトって意見交換できるんですよね?」
「はい。書いた意見を全体に共有できます」
「じゃあそれでいきます。詳しい操作等を教えて下さい」
「分かりました。ではこちらも諸々準備しておきます」
こうして数少ない中学校での事例が1つ確定できたので、当時大変ホッとした記憶です。
(必ず1年に数本実践事例を出せ、という命令があるので正直いつも頭を抱えるのです)
先生とは主に放課後打ち合わせを繰り返し、授業の全体的な流れを把握しつつどこで生徒が操作をするのかなどを綿密に確認しました。
大きなチャレンジだった研究授業
当日の授業内容です。
【目的、ねらい】納税者として経済を考えよう
【本時の流れ】日本は大きな政府を目指すか、小さな政府を目指すかについて肯定側、否定側でディベートを行う。ジャッジ側はムーブノートのワークシートに意見を入力し結果を反映する。計3回の弁論結果を元に自分の意見をワークシートにまとめる。
【支援事項】操作につまづいている子供への支援、タブレットパソコンの不具合対応、ムーブノートの画面操作支援をした。
この研究授業は記憶が正しければ教師道場主催だったので、校内だけでなく他の自治体からも多くの先生が参観されました。
そして研究授業はICTの効果を知っていただく絶好のチャンスですので、授業中実際に触れられるよう予備機を数台用意しておきました。
すると参観された先生方は予備機からソフトの動作を見るようになったので、私が気になる点について色々解説や説明対応をしました。
「面白いね」
「リアルタイムに意見が交わされているから、どんな考えを持っているのかひと目で分かる」
「へえー、同じ意見をグループ化できるんだ」
「うちも使ってみたいな。これなら発言できない子も意見を書ける」
などなど、その声は好評価ばかりでした。
研究授業が終わったあと、さらなる展開
研究授業が終わり、先生とは良かったですね~、いやー成功して良かったよ、なんて振り返りをして一息ついていたら、新たな展開がありました。
実は終了後の初訪問で、理科の先生からお声をかけられました。
「ぐうぽんさん。この前の社会の研究授業で使ってたあのソフト、僕も使いたいんですけど、教えてもらえます?」
一瞬(え??)と思いましたが、またも冷静に。
「おお!そういえば先生もご覧になっていましたね。ぜひぜひ!!」
聞くと、理科の授業でもディベート授業に活用したいそうでしたので、先日作ったフォーマットを改良、すぐ活用できるように準備したり先生への操作説明をしたりしました。
実際に行った授業はこちらでした。
【本時の流れ】前回に引き続き、原子力発電と太陽光発電それぞれの長所チームと短所チームが立論し、質疑応答をする。傍聴席から質疑応答を受けた後ムーブノートにアクセスし、どちらの立論が良かったかを投票し、結果を共有する。
社会科の先生のときは意見のみ記入する画面でしたが、理科の先生はこれに投票システムを加え、意見が述べられなくても肯定否定の考えを伝えられるようにしました。
これが結構効果的で、結果を見ながら先生が解説する授業が展開されました。
授業を見ていて思ったのは、この時点で現在の学習指導要領の目標である「主体的対話的で深い学び」を踏襲した話し合い、学び合いが頻繁に行われていたように感じます。
そのためこうした意見交換ソフトは一人一人の考えが可視化できるので、特に普段発言しない生徒の考えを見ることができるのは先生にとっても生徒にとっても有意義だと思います。
この2つの授業で私が感じたのは、やはり研究授業もそうですが
他の先生の授業を見ることは、講義スタイルで学ぶことよりも多くの知見が得られるということ。
そしてなによりも
そのソフトやICTの良さや有意性を実感してもらえるいい機会
だということです。
授業見学はとても身近な「学びの機会」
過去のブログでも私は「授業を見学することはとても勉強になる」と書いていますが、それは研究授業にとどまらず通常の授業でも同じです。
私も算数の講師として活動する際、何度か他の先生の授業を見学しては展開のヒントにさせていただきましたし、支援員時代も結構教室に入っては授業を見学し、終了後先生に「この場面でICT使うといいですよ」とご助言したこともあります。
授業見学から校内にあるソフトやハードといったICT機器に着目し、新しい授業を展開するのはとても素晴らしいことだと思います。
改めて社会科、理科それぞれの先生のチャレンジに拍手を贈りたいです。
そしてICT支援員の観点から語るとしたら、研究授業はICTの存在意義を大きく示せるチャンスです。
どんどん率先して支援に関わることでICTの効果を知っていただけます。
今回のように一人の先生の授業から他の先生の授業を変えることもありますので、とにかくひたむきに頑張っていただきたいと思いました。
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