去る6月8日、New Educattion Expoで行われたセミナーの報告です。
ここではパネルディスカッション形式によるプログラミング教育の概要、事例紹介でした。
文部科学省、自治体の取り組み
まず文部科学省からは
・Society5.0の時代が到来することで社会は大きく変わる
・プログラミング教育は小学校だけでなく中学高校へと一貫した教育
・情報活用能力の育成には整備と活用が不可欠
・情報活用能力の育成はプログラミング教育だけではできない。今までの指導も大事
次に自治体の取り組みとしては
・すべての教室でプログラミングを行い、すべての子どもの思考育成を目標にしている
・初任研でプログラミング教育の理解と体験を行っている
・情報化リーダの育成を図りICT活用とプログラミング教育を校内研で実施できる教員育成を図る
・ICT支援員が不足しているなら、研修を増やすしかない
・技術科の先生が小学校へ出張授業をする
・学級担任と専門家の連携で地域の力を活かす
・プログラミング教育を始めるならC領域から始める
・研修をするなら参加者の声が様々で授業から学べて同僚間のつながりが強い校内研で行うべき
ディスカッションのまとめ
最後に登壇者の方々のまとめとしては
・やりっぱなしの研修が多すぎる。常にフィードバックを行い継続的な意識付けを
・まずはやってみる。そして改善を図る
・教員、管理職、情報担当の意識付けが大事。特に管理職が意識改革をしなければならない
・本格実施まで残り10ヶ月しかない。全体計画の策定や予算要求は早めに行ってほしい。
・研修は遅くとも夏から始めるべき
所長の感想
プログラミング教育に関するセミナー受講も3つ目になり、先進的事例を聞けるのはこちらとしても勉強になる一方、話を聞いているうちに
「現実はこんな積極的な自治体ばかりではない。むしろ消極的な自治体をどうするかを考えないといけないのではないか」
という疑問も生まれました。
こうした自治体の温度差についてセミナー終了後、登壇者である茨城大学の小林先生に伺ったところ、
「それはどこも同じで、すべてが今回の事例通りではない。だからこそプログラミング教育とICT教育の重要性と効果を訴えていく必要がある」
との答えをいただき、改めて教育行政に対する継続的な啓発活動をしていく必要性を感じました。
そして前々から提言されている
ICTは先生の指導方針を変えるものではなく、むしろ効果を高め指導力を上げるもの
を踏襲した上で、プログラミング教育もその考えと同じであり、
物事を細分化し再構築し新たな概念を生むことで思考の整理や伝達を容易にする
メリットを伝えつつ、プログラミング教育とICT活用、すなわち情報活用能力の重要性と効果について自治体の教育行政に理解してもらえるよう常にアピールし続けていくことが大切だと感じました。
今回2日間にわたりイベントに参加してきましたが、重要なのは「すごかったね」「勉強になった」で終わりにするのではなく、こうした事例などをそれぞれの自治体に持ち帰り、プログラミング教育に対する準備やICTの良さを広めていくことがこのイベントの本当の目的だと私は思っています。
多くの事例が各都道府県に広がり、そしてこれが先生方にとって授業への新たな視点となり、よりよい授業構築につながるよう、これからも報告を続けていく所存です。
ご参考になれば幸いです。