ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

学習に困難な児童へのICT活用を考える

こんにちは。所長です。

 

かなり時間が空いてしまいましたが、ようやく年末に構想していたブログを公開いたします。

ぜひ一読いただければと思います。

 

ーーーーー

 

2021年2学期を振り返るシリーズ。

 

最後は、学習につまづく、いわゆる学習困難な児童についてです。

 

1クラスに1割はいるとされている、発達障害等を持つ児童。

その症状は様々です。

そんな児童に、ICTが支援ツールにならないだろうか・・

 

心に余裕ができたので、ようやく地に足つけて考えてみたいと思います。

 

ノートが書けない児童

まず一つに、ノートが書けない児童が多いことです。

 

黒板に書かれている内容が全部書けない児童がクラスの3分の1程度存在します。

 

集中力が足りない、注意散漫、そもそもノートを書かなくてもテストで高得点が取れるなど、児童生徒の特性は様々です。

 

日によって態度が真逆になる児童

ADHD注意欠陥多動性障害)を持つ児童は、とても多いです。

 

具体的な症状としては、

・こだわりが強い。

・長時間席に座れない。立ち歩くことが多い。

・一つのことに興味関心があると、止められようが絶対やり続ける。

・高い知能指数を持つので、ワークテストの成績は高い。

 

このあたりは特別支援教育にもかかってきますので、詳しくは語れませんが、

45分間という長い時間、机に座って課題に取り組むことが難しい児童生徒は、どうしても目立つ存在にもなります。

 

まあ、日本の教育は教員一人が児童全員に指導する「一斉講義」スタイルが基本ですので、こうした子どもには苦痛なのかもしれません。

欧米のように、課題は与えるけどどんな姿勢でやってもいい。ただし課題は必ず達成させること、といった少々の自由主義も必要なのかなー・・・なんて思ったりもしますが。

 

さて、そんなADHDの子どもにはとにかく褒めてますし、活躍の場を与えています。

叱られてばかりなので、下手すると自己肯定感の低下や、本来持っているはずの良さが消されてしまう危険性がありますので、存在意義を感じさせてモチベーションを上げるようにしました。

 

とはいえそれも日によるので、地道な支援が必要だな、とは思っています。

 

 

甘えたがりの児童

こういう児童も多いです。

 

とにかくまとわりついてくる。腕を引っ張られるのは日常茶飯事です。

 

背景には

 

・親からの愛着が少ない。

・承認欲求不足

 

などがあるかと思います。

 

それによって児童への指導が行き渡らない、本当に指導すべき児童への個別対応ができないといった課題もあります。

 

こうした傾向は、成長によって薄らいでいくか、深刻化するかはなんとも言えないところです。

 

いずれにせよ、学校教育に馴染めない(馴染まない)児童生徒の学びをどうしたらいいか。

指導以上に、その部分が今年大半を締めたように感じます。

 

 

個別最適化を図りたい!ICTとはそのためにあるのでは?

ノートが書けない、座っていられない、集中できない。

こうした児童生徒でも、ICTを用いると集中力が高まるというのは、ICT支援員時代、何度となく見てきましたので、少しでも通常に授業に組み込めないだろうか・・

 

そんなことも考えて(企てて)いました。

 

これはまだ実現の目処は立っていませんが、地域から様々な興味ある実践事例が聞かれています。

 

私がやってみたいものの一つに「板書撮影」があります。

 

先の、ノートが書けない児童には、タブレット端末等に装備されている「カメラ」で板書を撮影してもらい、あとで復習に充てるというものです。

 

本来であれば「ノートに書くこと」が第一条件ですが、特性上どうしてもそれが苦手だったり困難だったりする児童も少なからずいます。

個別最適化を目指すのであれば、こうした苦手な部分をICTが請け負い、あとから時間をかけて少しずつできるようにさせていく、というのもアリなんじゃないか、と考えています。

 

また児童生徒の学習理解度も学年が進むにつれて大きくなります。

そうなると紙媒体のドリルやプリントを用意する手間も増えてきます。

ドリルソフトや、紙媒体をPDF化し、Classroom等に前もって掲載しておくだけでも、個別最適化は図れると考えられます。

 

とにかく、少しでも授業が「面白い!」と思ってもらえればこちらのものです。

 

そのために長い歴史的に、ありとあらゆる指導手法がありますので、そういったものも参考にしつつ、今の児童生徒に見合った「学びのスタイル」も導入するのも、これからの教育じゃないかな?とは思っている次第です。

 

まとめ

一人一台のGIGAスクール構想が始まってまもなく1年が経過します。

現場から見ていると、この1年で大きくICT活用が広がった学校と、そうでない学校の差が、かなり明らかになっている様子です。

 

習熟度ではありませんが、こうした差はできる限り最小限にとどめたいところです。

 

ですので、活用については、まずは大それたことを目指すよりも、日常的に使えるような簡単な部分から実施するとよいでしょう。

 

難しいことをしてハードルを上げるより、一番簡単なカメラ撮影からやってみる。

 

ClassroomやTeams等のグループウェアを使ってクラスの交流を図る・・などなど

 

イデアはいくらでもあるはずです。

 

私が願うのは、どんな児童生徒であっても落ちこぼれは出したくないこと。

そのためにICTを活用するべきだと思います。

 

2年目のGIGAスクール構想がどのように進んでいくか、私も現場の一人として活動していこうと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。