低学年の学びとICT
こんにちは。所長です。
今年度も算数を担当しましたが、今年は少し勝手が違い、低学年も担当させてもらいました。
そこで今回は、特に低学年の指導で気づいたこと、低学年の学びとは?について感じたことを書いてみようと思います。
低学年の学びは「体験」
教職課程のテキスト等で学びましたが、低学年の学びは「体験」が主体です。
生活科を中心に、全般的にこのような活動があります。
・折り紙やコマ回し、凧揚げ等の昔の遊び体験
・どんぐりや松ぼっくりを使ったもの作り体験
・朝顔の栽培
・学級園の生物観察や飼育
・季節や年中行事に合わせたもの作り
こうした体験を主とした活動は、算数にも取り入れられています。
具体的には
・折り紙を使った「分数」の概念理解
・おはじきや具体物を使った「大きな数・たし算・ひき算・かけ算」の理解
・工作用紙等を使った「箱の作成」と、それに伴う概念理解
などがあります。
低学年におけるICTのあり方とは
低学年の学習は、その後の学習の素地につながるものばかりなので、先のように学習活動のほとんどが手先を用いたアナログによる学びになります。
最初「よし!おはじきとかもICTを使って理解させよう」と意気込んでいましたが、実際やってみようとしたら
・タブレット等の操作に慣れていない。ログインですらままならない
・主旨の理解ができず、遊んでしまう
・そもそも授業を受ける姿勢が身についていなかった
等の問題が生じ、私個人ではあまり効果的どころか、実りある活用には至れませんでした。
「低学年の基本は体験。だからとにかく手作業が大事」とは、担任の先生から指導いただいたお言葉ですが、正直私はそういった指導が苦手で、なるべくデジタルで済ませたいと思っていました。
でもその言葉を受けて、確かにいきなりデジタルで操作させるより、その物の質や量感を理解させないと本当の理解にならない。
そしてそれは低学年の「今」でしか学べない、とても重要なもの。
2年生で学ぶ長さや水のかさといった概念も、単に様子の動画やアニメを見て、暗記的に単位を覚えるよりも、実際水を入れてやってみたり、物差しで長さを測定したりしてみた方が記憶にも残りやすいし、何よりその大きさや意味を実感できる。
そしてそれが抽象化された単位等へと発展すれば、暗記するよりも忘れにくい・・
授業を実践していくうちに、体験する意味と重要性を強く実感しました。
だから低学年の学習スタイルのベースは
デジタル<アナログ
なのです。
ですので、低学年のうちからICTを推進したいという、はやる気持ちを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが
そもそもICTは学習を深める存在であり、
基本となる学習態度の習得、そして習得すべき概念や素地を理解してからでないと、ICTは、その効果を十分に発揮できない。
ということになるかと思います。
特に学習態度は基本中の基本ですよね。
授業に使わせたくても、話を聞けない、集中できないでは活用しようにもできないのです。
なお、この結論はあくまで「算数」に限った話であり、じゃあ全然タブレット等を用いていなかったのか、というとそうではありません。
実は国語や生活科では結構日常的な活用をしており、
手書きによる文字入力をご紹介したら
・Jamboardを用いた国語での意見交換、漢字練習
・You Tubeを視聴しながら折り紙の折り方を自ら学ぶ
・登校できない児童のリモート学習
などの活用をしたとの報告を聞いています。
私よりもむしろ担任の先生のほうが今回頻繁に端末を活用していたような印象です。
私は出る幕がないくらい・・
(勤務校は市内でも先端を行っているという噂も)
アナログ体験からデジタルで深い学びへ
私の経験をまとめますと、結局教科指導によるICT活用は低学年のみならず、いきなり用いるのではなく
①体験、経験を通して概念を理解する
②理解した概念を発展、深い学びへと導くためにICTを用いる
というのが、一番理にかなっているような気がしました。
難しい操作は低学年にとってハードルが高いです。
操作方法を習得させるのであれば、練習の時間を設けるなどして、十分理解できた上で教科の学習活動に活かすことではないかと感じました。
アナログでの体験を、ICTで深い学びにつなげる。
と、まとめつつ、正直実際はそこまで全然至れませんでしたので、これを次の研究目標の一つとして心に刻みたいと思います。
そんな失敗続きの低学年算数でしたが、いくつか手応えのあった単元事例もあります。
後日いくつか紹介しますが、1年間実践してみての感想は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました!
ご意見ご感想等ありましたらよろしくお願いいたします。