ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

【小学2年算数】Chromebook+スプレッドシートで虫食い算

ご無沙汰しております。所長です。

 

今年度は低学年と高学年の算数を担当していますが、今日は2年生算数「虫食い算」の授業をGoogleスプレッドシートを使って実践した事例をご報告します。

 

 

たし算とひき算の関係理解を促す虫食い算

本単元で初登場となる筆算は、計算技術の要となるためプリントやドリル等でとにかく何十回も練習させて定着を図ります。

そして本単元の締めくくりになるのが「虫食い算」で、たし算とひき算の相関関係が明確になる重要ポイントでもあります。

 

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「虫食い算」は、かれこれ8年ほど前ICT支援員時代に先生から「筆算のドリル教材がほしい」とのご依頼で作成したもので、多くの小学校で実践し評価をいただいています。

 

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特徴として、黄色に塗られている部分のみ数値入力を可能としており、答えの横には判定機能をつけています。これにより子どもは一人で問題に取り組めるよう設計しています。

 

今回そのファイルの存在を思い出し、学年の先生とご相談し教科書にプラスしてChromebookで実践してみることにしました。

 

スプレッドシートでの稼働には多くの課題が

 

とはいえ元々はExcelで、使用する端末はChromebook

そのため授業までの短い期間の間に

 

スプレッドシートへの変換

・Classroomからの課題配布

・操作全般の指導

 

 

等の作業が私を待ち受けていました。

 

まずExcelからスプレッドシートへの変換を行いました。これは問題なく行えましたが、早速問題が発生しました。

 

それはシートに設定していたロック機能が解除されていたことです。

 

 

このファイルにはシート保護を設定しており、黄色のセルだけ入力を許可し、他の部分にはロックをかける仕組みを入れていましたが、変換によりこれらがすべて解除されました。

問題や判定機能をいじられては困りますので、スプレッドシートでシート保護ができるかどうかを探したところ、できることがわかりました。

 

手順としては

 

1.シート全体を保護する

2.入力部分を保護解除する

3.権限を「編集を自分のみ」にする

 

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これにより、入力可能部分以外を編集しようとすると警告を表示できるようになりました。

 

詳しくは下記サイトを参照ください。

spread-sheets.com

 

いざ授業で活用してみると・・

 

保護を入れたスプレッドシートをClassroomに課題として配布し、授業当日になりました。

今回は受け持っている1クラスだけでなく、もう1クラスでも操作指導を行いました。

 

念の為、担任の先生に配布元を開いていただき、保護がかかっていることを確認し、「よし、これで大丈夫」と確信しました。

 

子どもたちはこの授業までにClassroomでの操作等は実践しているものの、やはり低学年ということもありパスワード入力やClassroomへの遷移、ファイル実行までに時間を要しました。

 

ファイルを開き、実際操作をしてもらうとちゃんと動作はしました。

が・・

 

肝心のシート保護が消えていました・・

 

案の定、操作を続けるうちに問題に数値を入れてしまい判定が正しく動作しない端末が続出し、担任の先生とともにその対応に追われることになりました。

それでも子どもたちは真剣に問題に取り組み、虫食い算の楽しさは感じてもらえたようです。

 

まとめ

 

最終的に授業自体はそれなりな形に収まりましたが、ポイントとしていたシート保護の消失はショックでした。

おそらく一人一枚配布にしたことで設定が消えたのではないか、と推測していますが、これについては今後調査します。

 

算数の授業として振り返ると、たし算とひき算の相互関係理解が定着していないこと、そして隣のクラスの担任の先生曰く「プリントやノートで習熟している子どもが繰り上がり、繰り下がりの概念に気づけずかなり苦戦していた」点が見つかりました。

 

まとめると、今回の実践はICT的には課題だらけの失敗でしたが、算数的には理解していた子どもが実際は定着に至っていなかったという課題をあぶり出せたと捉えました。

 

低学年でのICT活用は日々苦労の連続です。

それでも何らかの成果を見いだせるよう、これからも実践していこうと思います。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

ご参考になれば幸いです。