ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

教員の経験から伝えます

こんにちは。所長です。

 

2021年2学期を振り返るシリーズ。

 

1つ目は、初めて4月から教員をやってみて感じたことをまとめます。

 

ICTというより、学校教育への苦言?提言?になると思います。よろしくお願いいたします。

 

 

教員は多忙・・・・多忙すぎる!!

まず、これは何度も聞かれていますし、訴えていますが、教員の多忙さはかなりなものです。

 

私は毎日平均3時間ほど請け負う時間講師なので楽に見えるかと思いますが、とんでもない!!と言いたいです。

 

教員は、単に授業だけをすればいい訳ではありません。

算数と図書をやっている私を例に取りますが、一応これだけ任されています。

 

・授業指導(2年生と5年生)

・宿題用のプリント準備(2年生)

・マス計算の準備

・ノート確認(2年生)

・授業で使用する教材、ワークシート準備・印刷

・テスト前の確認プリント準備

・テスト採点

・成績付け(2年生)

・所見入力

・図書での読み聞かせ本の選別

 

昨年は少人数算数だけだったので採点程度でしたが、やることが増えました。

特に2年生は全部なので授業から評価まで丸々受け持つとともに初めてなことばかりで結構大変でした。

 

図書の読み聞かせも、何を読もうかいつも悩んでいました。

毎週学校司書さんがいらしているので、おすすめを伺ったり、季節モノを取り入れたりと、本への興味関心を持たせようと日々奮闘していました。

 

 

まず、教員が1年間走り通せるか否かは

 

児童の実態が大きい。

 

そしてそれは

 

教員のメンタルに大きく影響すると感じました。

 

必死になって準備して、ここまでやってもらおう!と意気込んでも、児童が授業に参加しようとしない、騒ぐ、ノートも教科書も出さない、話を聞かない、立ち歩く・・・

 

おかげで強い語気で指導することが増えました。

 

そのたびに自己嫌悪に陥り、テストをしても結果が伴わない、担任の先生の代わりに指導しているはずなのに、一人では授業が成り立たなくなり、苦しいを超えて怖かったです。

 

月曜日、授業が始まると思うと動悸が止まらないこともありました。

 

そんな日々でしたから、11月頃は私もメンタルやられかけました。

 

別の講師の先生は秋口に適応障害で休職になりかけました。

 

ここで私もやられたらマズイ・・と踏ん張りました。

 

一部しか担当してない私が苦しんでいるのに対し、担任の先生はその他になる訳ですから、もっと負荷が多いです。

そう考えると、学担の先生のタフさと、たくましさには頭が上がりません。

 

余裕がありません・・

さて、話を戻しますが、ICT支援員時代、授業事例を提案しても断られたり、1日全くお声がかからない日というのが結構あったなあと振り返ります。

(今のほうがもっと辛いですが)当時としては、とても辛い日々でした。

 

「必要とされていない」感覚を抱く方もいらっしゃったのではないでしょうか。

 

だけど実際は違いました。

 

必要とされていない、じゃなく、

必要としたくてもその余裕がない

 

これなんです。

 

私も毎日・・

 

明日の2年生はこれを準備して・・

板書計画をノートに書こう。どんなふうにやろうかな?

 

おっと5年生の方もプリントと配布物を準備だ。

印刷機にかけたら裁断して・・

 

あれ?明日の図書は何を読み聞かせすればいいんだ?希望を聞いていない。

担任の先生は?いない?教室かな?聞きに行かないと!

 

とにかく目まぐるしいのです。

 

そんな日々ですから、だんだん心に余裕がなくなってくるのです。

 

苛立ってくる先生も出ていました。

 

行事等も多く、日程的にも長い2学期は、特にそういった場面が顕著に見られます。

先の休職する先生が増えるのもこの時期です。

 

 

ICT支援員さんに伝えたいのは

つまり、正直言って、

 

先生たちは忙しすぎるのです。

 

質問したくてもその余裕がない。

 

なにか聞こうと思っても、目の前のことで頭がいっぱいなので忘れてしまう。

 

授業案を提案されても、1週間くらい先なら想像できてもそれ以上になるとイメージができない。

 

とにかく!明日のことで手一杯。

 

教員の辛さ、大変さを、今年は特に強く感じています。

 

この事実を、私自身、身を持って体感しました。

 

ICT支援員さんにとって、先生からの依頼というのは大きな存在価値だと思います。

 

だけど、現実はこれです。これを知ってほしいんです。

 

だから学期末あたりにパソコンの授業を・・と依頼が増えるのは、先生の目にゴールが見えて、余裕が生まれたからであって、ここでようやくICTや情報教育に向かい合えるのです。

 

 

私ですら、情報教育に関する気持ちが一時期完全に消えました。

パワーポイントで何かを作ったとしても、深く作り込めませんでした。

形さえなんとかすればいい、最低限の動きだけ入れておこう、映ってくれればそれでいい・・無理に使うのはやめよう。アナログでも十分伝わるだろう・・

 

支援員時代に理解できなかったことが、今の私には深く、深く理解できました。

 

だから、本当に申し訳ないのですが、ICT支援員さんには、地道に行動してもらうしかないんです。

たとえ反応がなくとも。めげずに。

 

余裕がある先生や、本当に困ってる先生なら、必ず何らかの形でアプローチしてきますので・・。

 

 

よい授業はICTだけじゃ実現できない

と、毎日の現場の様子を簡単に書きましたが、決して先生たちはICTを使いたくないんじゃありません。

 

やりたくて仕方ないんです!

 

私も、いちいち机間巡視しないと一人一人のノート書いてるか、とか活動が見られないのは労力の無駄と思っています。

 

一人一台タブレット等があるのなら、そこに考えを書いて、先生は手元で状況を一括で把握できたらどれほど楽か・・。

 

全員の動向を見て、そこからピックアップして考えを説明してもらったら全員が参加者になるし、ならざるを得なくなるので、能動的な授業が実現できるなあと。

 

皮肉なものです。

今になって、心の余裕が生まれたからやりたいことが出てきました。

 

グチャグチャ言いましたが、結局は

 

教員の働き方をもっと改善しないといけない。

教員のメンタルも支援していかないといけない。

 

ICTを使ったから、一人一台になったからといって、教育の改革なんて夢のまた夢と思います。

 

もっと根幹部分を見直していかないと、教員の負担は減らないですし、減らないと余裕が生まれないので、次にこうしよう、ああしよう、といった願望や思いも描けないし、実行もできないんです。

 

また、休職する教員が多いということは、教員のメンタルヘルスケアも、今以上に重要視しなければ、とも思うんです。

 

趣味で軽く心理学をかじっていますが、このあたりの知識をもっと共有して、未然に防がないといけない・・・

 

そう感じています。

 

 

文科省が実施した「#教師のバトン」は、内部に潜んでいた教員の激務を表出しましたが、まさにあれは真実でした。

 

ならばどうしていけばいいんでしょう?

 

教員に研修したい意欲や心の余裕を生ませるために、学校教育はどうあればいいんでしょうか?

 

 

そんなことを提案して、1つ目の記事を終えたいと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!