ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

【東京瑞穂町】教員向けプログラミング教育研修

去る8月22日、東京西多摩郡瑞穂町にて教員向けプログラミング教育研修の講師を請け負いました。
そのレポートをします。

 

 

研修開催に向けての動き



この夏、プログラミング教育に関する教員向けの研修は、先月の青梅市とこちらの瑞穂町の2自治体で行いました。
とはいえ、この研修も青梅市同様、こちらからの提案に対して教育委員会様が対応する緊急開催でした。

瑞穂町では、東京都が実施しているプログラミング教育推進校だけが先行実施しているものの、推進校以外は移行期間であっても具体的に進められていない現状を教育委員会様が危惧していました。
研修の内容については、前回の青梅市での反省を踏まえ、基本スタイルは踏襲しつつ若干の追加修正を施しての開催となりました。
会場校は、今夏リプレイスが行われない学校の中から第一小学校となりました。

準備段階としては、7月の段階で指導主事様を中心にScratchのオフライン版をインストールしておき、動作確認も行いました。

 

研修会当日の様子



この研修会は青梅市とは違い、教育委員会様が開催を通知し、受講を希望する先生が自主参加スタイルでした。
参加した先生は飛び入り参加も入れて16名。加えて教育委員会様から2名ご参加いただきました。

この自治体は私がICT支援員として最後まで関わった地区ということもあり、参加された先生はほとんど知っている方々でした。
先生が入られるたび、「元気だった?」「久しぶりだね~」など、私にとって一種の同窓会状態になりました。

進行内容は青梅市と同じもので行いましたが、以下のスケジュールで進めました。

・理論編 プログラミング教育導入の経緯、小中高のプログラミング教育の流れ、フローチャート作成体験
・実践編 viscuit紹介動画、Scratch体験(5年算数多角形)


大きな変更としてはviscuitの紹介動画を加えたことです。
viscuitについては友人のお子さん(小1)が体験した動画をPowerPointに追加し、触る前と触ったあとでそれほど自主的ではなかった子どもが「こうしたい」「今度はこれをやってみたい」と自分の考えや思いを話すようになった変化をお伝えしました。


フローチャート作成では、順次・分岐は補足がなくても書けていましたが反復となると悩まれる先生が多かったので、例として買い物での詰め放題を取り上げました。
すると先生から

「普段そんなふうに考えたことがなかった」
「言われてみて気付くことができた」

と、まさに率直な意見が出されました。

そのため、こうした生活における行動を一旦分解し、再構築する行為こそがプログラミング的思考の育成とご説明しました。




実践編のScratchでは基本操作を学んだあと、5年算数多角形をベースに正方形や三角形といった多角形をプログラミングで描画する作業を体験いただきました。
コツを掴まれた先生は、様々な図形をプログラミングしていました。



またありがたいことに推進校からも参加いただいたので、率先してお困りの先生のフォローや助言等のご助力を賜りました。

 


先生同士の会話も増え、全体的に和気あいあいと協力して作業に取り組まれていました。

 

成果と課題

 

成果としては

・viscuitは動画を視聴するだけでもその良さは伝えられていた。
・持参した書籍や教材に反応する先生が多かった。特に推進校の先生が体験談を語ってくださった。
・研修資料を試験的にQRコードで提示したら、ほとんどの先生が読み取ってくださった。
・中学校の先生との交流が図れた。
(先生とは支援員時代あまりお話する機会がなかったのですが、今回気さくにお声がけくださったので嬉しかったです)

反面、課題としては

・研修の流れを前もって決めすぎていて、受講している人たちのスキルや希望に合わせられなかった。
・具体的な指導方法にまで追求できなかった。
・受講者アンケートを実施できなかった。
・理論編の内容が硬すぎた。まとめの説明がくどかった。
・推進校と他校のスキル差が顕著に現れている。



成果について振り返ると、推進校の先生から多くの実践を伺うことができたことやQRコードが結構使えることがわかりました。
QRコードは最近NEEなど多くの展示会における発表で使われている手法で、やってみたらそれほど難しくありませんでした。
ペーパーレスの観点から、今後は実施できなかったアンケートも紙媒体に加えてQRコードも検討してみたいと思います。

課題についてはまず、研修内容がこちらの経験や主観で進めている点に問題がありました。
現場の先生方が一番どんなことを不安に思っているのか、どんなことが分かれば不安は解消できるのかを汲み取れていない中で研修を受けられても、「受けてよかった」と思っていただけないように感じます。
そのため教育委員会様を通じて現場の先生の意見を汲み取るなど、今よりもっと密に連携していく必要があると考えています。

また1時間半という限られた時間の中で指導方法やポイントといった授業に直結する部分に触れられなかったことも反省でした。
研修1回ですべてを伝えきることはできませんので、今後は継続的な研修の実施とICT活用に関する研修も実施していただくよう働きかけていこうと思っています。

今回の研修でも多くのことを学び取ることができました。
最後までご覧いただきありがとうございました。ご参考になれば幸いです。