ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

ICT支援員として活動するための留意点

こんにちは。所長です。

 

私がICT支援員をしていた頃を振り返ると、結構いろいろありました。

今日は元ICT支援員から活動するときの注意点とかをまとめようと思います。

 

 

活動していたときの環境

私が活動していたときの環境はこんな感じでした。

 

・OSはXP→Vista→8または10

・ネットワークはパソコン室がメイン

・無線は自治体によりけり。既に実装されているところもあればなかったり。

・教材ソフトはジャストスマイルやベネッセ、ラインズなど様々

・パソコンは必要に応じて使用するもの、の意識が高く、めったに使えない特別感が強かった。

 

最終年から3年程度経過していますが、おそらくGIGAスクール構想前に比べてあまり変化はないように感じます。

 

ちなみにこうした環境の違いも、GIGAスクール構想によってある程度平準化が図られそうで、地域による格差も小さくなりそうです。

 

環境理解が一番の難敵


まず一番に苦労したのは環境でした。

 

とにかくいろいろなソフトや環境の違いを理解するので、かなり大変でした。

特に支援員1年目で複数の自治体を兼務している方は、まったく違う環境を短期間で理解しなければならないので苦労されていると思います。

 

私は数年一つの自治体で活動しましたので支援員としての土台をじっくり作ることができました。それについては本当に感謝しかありません。

 

その経験から

 

できれば経験が浅い支援員には1つの自治体でじっくり環境理解を図ってからの方がよい。

 

 

かなと思います。

 

さて、そんなエラーやトラブルにも動じず環境の不具合にも負けずに笑顔でササッと対応できるのがICT支援員。

 

ですがそうは行かないときもありました。

 

ネットワーク回線が脆弱で、10人使った時点で全く読み込めなくなり授業が終了したこと。

教材のサーバが突然ダウンし、全く画面が開けなくなり担任の先生とあたふたしたり・・

 

こうしたスペックの低さによる動作不良等、数多くのトラブル等にも見舞われましたので、授業中でのトラブル回避については今も冷や汗が出ます。


まあIT機器というものはいざ!というときほど動かなくなる。

ITあるあるかもしれませんね。

(今日も研究授業の先生が「書画カメラが当日になって動かなくなった」と嘆かれてました。あるある勃発ですね・・)


活動での注意点、留意点

当時の経験をもとに、まとめてみました。

 

・ブッキングがないよう常に配慮

・面白い事例があればどんどん共有

・ネタがないと先生と関われない。だから常にネタ作り

・日々の一つ一つの活動が、支援員としてのスキルとして蓄積されることを意識しておく

 

このあたりを意識しておくとよいかと思います。

 

まとめ

 

一見大変そうな仕事かもしれませんが、正直現場の先生のITスキルはまだまだ高くありません。

IT企業で経験を積まれている方の知識が十分役立つ職業だと思います。

 

本当に最低限必要なスキルがあるとすれば

 

「コミュニケーション能力」

 

これに尽きます。

 

やはり人と人とのやり取りですから、コミュニケーション能力がなければせっかくの知識技術等が活かされません。

 

ぜひとも多くの先生方とコンタクトを取っていただき、二人三脚で活用への道を切り開いてほしいと思います。

 

 ご参考になれば幸いです。

教科を横断させて効率よく情報活用能力を高めよう

こんにちは。所長です。

 

今回は将来的なICT活用の指導におけるちょっとした工夫について提案しようと思います。

 

 

 

総合でのかいこ観察日記

3年生は現在、総合の時間を使って蚕の観察日記をChromebookで作っています。

 

画像1

 

使用ソフトは手書きもできるJamboardで、カメラで蚕を撮影したらスライドに貼り付け、観察記録を保存していくというものです。

 

慣れるまで週1回、総合の時間を使ってカメラの撮影、記録の入力保存等おおまかな操作手順を指導しました。

 

すでに4回目で理解しつつあるな、と感じていたら、5回目になると予想はその遥か上を行っていました。

 

子どもたちはやることが分かっているので、何も言わなくてもカメラを起動し、順次蚕を撮影。ドライブから自分の日記を立ち上げ記録をつけていきました。

 

週1回の指導なのに、子どもの理解は非常に早い。

 

ということで観察日記の指導はこの日を最後に私の手から離れ、続きは担任の先生主導で進めてもらうことになりました(これこそ理想のスタイルです)。

 

観察日記から派生した図工のポートフォリオ

そんな活動をいろいろな先生にお話していたら、図工の先生が相談に来られました。

 

作成物を撮影して1年間の記録にしたい。

いわゆるポートフォリオの作成です。

 

やってみたい内容を伺うと、写真を貼り付けたい。手書きでもいいので記録をつけたいとのことなので・・

 

これは3年生に行った観察日記のやり方がそのまま使えるかも。と思いました。

 

教科横断を意識したICTの活用は指導の手間を減らす

先生には3年生でしたらすぐ実施できます、と提案しました。

 

先生への詳しい操作説明は後日行う予定ですが、こういった形での活用方法もあるんだなあと思うとともに、まとめると

 

教科横断を意識した活用計画をしておくと指導の手間が省ける

 

と考えることができます。

 

ICTの活用というと、どうしても授業や単元単体で考えてしまうと思いますが、操作方法等は結構似たりよったりだったりします。

 

ですので、操作手段はどの教科でも応用が効くように意識付けしておくと良いのではないかと思います。

  

そして

 

教科ごとに新しい操作方法を学ぶのではなく、どこか1つの教科で新しい操作を指導したのであれば、それを他の教科でも流用できるよう情報共有する

 

こともとても大切だと思うのです。

 

こうした工夫によって、先生の子どもたちへの指導回数が減り、授業の効率化が図れると考えられます。

 

まとめ

 いかがでしょうか。

 

今回、観察日記でマスターしたJamboardの基本操作が図工のポートフォリオに応用できる事例が生まれましたが、こうした教科横断を意識した学習は現行の学習指導要領にも謳われており、教科のみならずICTでも意識できると感じました。

 

と、自信満々で言っているようですが、私も今回の事例があって初めて「おお、そうなんだ」と気づいていますので偉そうなことは言えませんが・・

 

せっかくICTを子どもたちに指導されるのですから、指導への労力は少しでも減らしたいのは誰もが思うところでしょう。

 

単体で学んだICTの知識や技能を活かして大きな学習効果へと発展するような授業を展開できたら、とても素晴らしいことです。

 

そうなると、情報活用能力の系統立てたカリキュラムが必要不可欠になりそうです。

ICT支援員との連携なども視野に入れると良いかもしれませんね。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。ご参考になれば幸いです。

自作教材を作る上での注意点

こんにちは。所長です。

 

ICT支援員時代、私は数多くの教材を作りました。

それは今でも授業で活用していますし、活用されてもいます。

 

まさに宝物のようなものです。

 

そんな教材づくりをするのもICT支援員の仕事だと思いますが、今日はそんな自作教材に関する考察をしてみたいと思います。

 

 

教材は一人で作れるけれど・・

現役時代、とにかくよく教材を作りました。

PowerPointだったりWordだったり、Excelだったり。

小学校向けから中学校向けまで、本当に沢山の教材が今も手元に残っています。

 

さて、そんな教材ですが今思うとICT支援員が一人で作っていませんか?

 

もちろん先生からの依頼があって作成していると思いますが、支援員だけで作ってもポイントがずれていることがあるのです。

 

教材とは 

教科書が求める学習目標の達成を補助するもの

 

なので、ここを落としてはいけないのですが、結構見落としがちになっているように思います。

 

自作教材は100%のものを提供しない、させない

なぜそういう思いに至ったのか。実はこんな話があったからです。

 

ある日、トラブルの対応が終わったとき、一人の先生が話を切り出しました。

 

「支援員さんが色々教材作って送ってくれるのはありがたいんだけどさ、ちょっとした修正とかができないんだよ。だって完璧に作られちゃってるから」

 

その言葉を聞いて、ハッとしたと同時に、自分ももしかしたら先生からそう思われていたのか・・と愕然としました。

 

確かに私自身、今振り返ると自己満足のものばかり作っていたように感じます。

作った教材は、そのほとんどはそのまま活用され、先生からの評価もいただきましたが、この一言を聞いたとき、

 

教材を作って提供するだけの支援員は本物の支援員じゃないのかもしれない。

作った教材を簡単に編集できるよう支援したり手順を示したりできて、本物の支援員なのかもしれない。

 

 

と捉えました。

 

ICT支援員が教材を作る際の注意点

 

私が今、教員として授業を請け負い、指導してみて思ったのは、

 

・どんなに一人で教科書や指導書等を見て作成しても自己満足のレベルでしかならない。

・長く活用される教材を作るなら、絶対第三者の視点が必要

 

 

ということ。

 

実際先生と二人三脚で作成した教材は、何年たっても他の先生にお見せしても「これはすごい」と高い評価をいただきますが、一人で作った教材は指摘や改善を要求されることが多いです。

このことから、長く使える教材は複数の視点と意見が必要だと言えるのです。

 

そしてICT支援員にぜひとも知っていてほしい、片隅に思っていてほしいのは

 

・教材は叩き台程度でかまわない

・製作に先生を関わらせてほしい

・もしすべて支援員が作るのであれば、必ず先生と一緒に作ってほしい

・先生のITスキルを向上させるのも支援員の役目

 

忙しくて一から作れない先生であっても支援員への丸投げは本来望ましいことではありません。

その場はいいかもしれませんが、それでは先生のITスキルは一向に高まりません。

ちょっとしたことでいいので、製作に先生が関われるような工夫が必要かと思います。

 それも支援員の役割だと思うのです。

 

ちょっと苦言めいたことを書きましたが、本来の目的は「先生方のICT活用力の向上」ですので、一人で全部作り上げるより、骨組み程度にして残りを先生に担当させるくらい任せてもいいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。ご参考になれば幸いです。

【NEE2021】DX時代の教員のICT活用指導力を考える

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こんにちは。所長です。

 

2年ぶりに東京有明でNew Education Expo2021が開催されました。

 

年に一度の教育関係の大型イベントですが、昨年はコロナで中止。今年もどうなるか心配でしたが無事開催され、ホッとしています。

 

ですが実感としては規模は通常の7割程度で、来場者も少ない感じでした。

それでも各ブースでの展示やセミナーは盛況で、私もここで収集した情報を地元で紹介していますので、遠路はるばる足を運んでも苦にならない、大変ありがたいイベントです。

 

今回3つセミナーを受講してきましたので、まず1つ目をご紹介しようと思います。

 

 

GIGAスクール構想前、パソコンは1校あたり20台~40台の状況。つまり一台につき6人が使用できる程度で、何年たっても台数は増えず、パソコンの整備はもう自治体の整備の限界状態でした(むしろこの時代は消してしまいたい)。

 

遅々として進まないICT活用について、2020年施行の現行の学習指導要領の総則に「ICT」という文言が追加されました。

正直言って異例中の異例の話で、それだけ危機感を持て、という意味なのです。

 

そして2021年、GIGAスクール構想により一人一台の環境となりましたが、このシステムはこれまでの運用システムと異なり「クラウド」を主体とした活用です。

したがって今までの指導や活用法とは違う、全く新しい活用法が求められていると言えます。

 

その中で特に重要なのがデータ共有です。

 

効果的な活用。すべては「把握」から

旧来のICTの活用方法は

 

1.操作を学び、知識や技能を高める

2.手立てを活用して解決する

 

でしたが、振り返ると、1と2の間が抜けており、これがICTを用いた効果的な授業があまり実現できなかった原因だそうです。

操作方法を学んだからといって、いきなり課題解決をしろ、と指導しても子どもには難しい話です。

 

そのために何が必要か。

 

子どもの思考の把握です。

 

 操作スキルを高めた子どもに対し課題を与えたとしても、子ども一人一人が何を考え、どう行動しているのかが見えていないと、先生の指導がピンポイントに働かない可能性があります。

 

共有のよさを生かした授業づくり 

では共有を生かした授業とはどんなものなのでしょう。

例としては

 

・感想の共有

・考えの共有

・画面を通しての議論 (ディベートなど)

 

などがあり、具体的にはJamboardで付箋を使ったり、1枚のスライドを数人で共同作業したりする活動が挙げられます。

 

そんな共有を発展させると

 

クラウド上で

 

いつも

 

何かを共有することができる

 

につながり、それは授業内だったり、場合によっては部活や委員会、家庭や生活の中だったりするため、活用の範囲は無限に広がるとも考えられるのです。

 

また共有は、一人では考えつかなかったこと、見えなかったことが、みんなでやるから見えてくる、他の人の考えも見ることができるので、ノートで行っている授業の振り返りや前時の振り返りも、フォーム等を使えば画面越しに即時共有できるので、子どもたちだけでなく、先生からも、子どもたちの理解度の確認がすぐ可能となります。

 

つまり、共有の良さは

 

●情報の分析、比較が容易

●分析、比較から議論が生まれる

●自然と協働学習に発展

 

 するので、もはや効果的を超えて便利と言えるのです。

  

子どもが使えば教師の活用力は上がる、教師が使えば子どもの活用力も上がる

よく先生は「子どもはタブレット等で遊ぶから困る」とおっしゃいますが、教員向け研修をされていると、結構先生方もこれはなんだろう、と遊んでいませんか?

 

子どもたちがやっていることは、それと同じことです。

 

だからタブレット等は大いに自由に使わせるべきです。

 

使わせることで物珍しいものから、辞書や教科書のように当たり前に存在するツールの一つへと認識が変化するのです。

 

また多く聞かれることとして、話だけだと実感が湧かないというもの。

これも実際体験してみることで、授業のイメージが膨らみますので自ずと「やれそう」「やってみよう」という意識変化になります。

そうした活動の繰り返しが、自然と先生も子どももICT活用力を上げ、指導力も上げるのです。

 

オンライン世代が学校現場に登場?

 

教員養成大学の学生の約60%がICTを苦手とするデータが上がっていました。

しかしコロナによりオンライン授業になったことで、徐々に学生から苦手感が減っている傾向にあるそうです。

これもやはり体験によって不安感が払拭された結果だと思います。

 

ということは、今後オンラインに慣れた世代が現場に登場するとも考えられるのですが、それによりもしかしたらさらなる新しい活用が見えてくるかもしれませんね。

数年後の結果を待ちましょう。

 

ICTはよりよい授業のため?一人一人の学力のため?

最後に上がったのが、ICTの活用の本質についてでした。

 

ICTはよりよい授業のためでしょうか?

それとも一人一人の学力をつけるためでしょうか?

 

よりよい授業のため、と思われますが、そこに注力すると準備が大変とか効果が得られないなどの問題が起き、結果的に紙の良さを再確認し、元に戻ってしまいます。

 

ICTは一人一人に力をつけるため、学力をつけるためにあるのです。

 

これからの時代に求められるのは、自ら学ぶ力を持った人材の育成です。

日本の教育は一斉教育主体ですが、一人一人に学力をつけること、つまりGIGAスクール構想の目的でもある「指導の個別化」を成し遂げるのであれば、学習目標である「めあて」も一人一人用に変わるのです。

 

めあてが複線になると、一人一人の思考も変わりますので、アナログ主体の指導は非常に難しくなります。

 

そこでICTが必要となるのです。

 

ICTを活用することで、子ども同士の助け合いが生まれます。

助け合いにより、各々のめあてが達成できるようになり、さらなる学習意欲の高まりへと進化するのです。

 

こうした子どもたち一人一人の学習履歴は、蓄積されるとビッグデータになります。

これの取り扱いに関しては様々な議論がありますが、やはり学習履歴を分析し、個別指導へと活かすための手立ては必要だと思います。

 

これからの学習指導力は、ICTの活用指導力

 

この言葉でセミナーは締められました。

所長のまとめ

実は私が卒業論文で触れた内容が2点ほど取り上げられていて驚きました。

 

一つはAIを用いた学習活動についてです。

これは中学英語で生徒がAI翻訳を使って英作文を作っていた話で、これだけを聞くと「それっていいのか」と怪訝な顔をされる先生も多いかと思いますが、実はシンガポールの学校では2008年から基礎知識についてはAIに質問して答えを導き、教師はファシリテーターとしてアドバイスをする役割で授業が進められています。

 

話を聞いて「これに日本が近づいた」と思いました。

 

ただ学力の定着面から考えるとすべてAIに翻訳させるのではなく、ある程度をAIに任せて細かい部分は自分で修正するなどの工夫は必要と思います。

これについては今後議論が行われてほしいものです。

 

もう一つは子どもと先生の活用力です。

卒論でデータを取得した時、先生が率先して活用するクラスの子どもはICTへの抵抗感が少なく活用力が高まる傾向にありました。

これとほぼ同じことが報告されましたので、やはりとても大切な部分だったんだと感じました。

 

 GIGAスクール構想が始まり、漠然と今までの指導が通用しないような感じを受けていたのですが、お話を聞いてその感覚は間違っていなかったことが分かりました。

そのためこれからの活用とは、先生自身がこれまでの指導を見直し、どの授業場面でICTを用いたら効果的か、を試行錯誤しながら見出すことが必要なのではと思います。

 

どうしても失敗は付き物です。

だから先述しました「体験してみる」を中心に練習を繰り返すことでポイントも理解できますし、何でしたら子どもたちに活動を任せてみるのもあります。

 

子どもだけが学ぶ時代から、先生が子どもとともに学ぶ時代。

 

教員のICT活用指導力向上とは、そうした日々の実践によってもたらされるように思いました。 

Google for Educationを理解しよう

こんにちは。所長です。

 

GIGAスクール構想により、一人一台端末が実現されましたが、その際導入されたシステムとして代表的なものが、Googleが運営する「Google for Education」です。

 

Google for Educationは多くのアプリ(ソフト)と連携していますが、実際自分が研修等で学んだとき、ものすごく混乱した記憶があります。

 

今回はそんな経験を鑑み、Google for Educationの概説とシステムを簡単に理解するためのポイントをまとめてみようと思います。

 

なおあくまで概説で深くは掘り下げませんのであらかじめご了承ください。

 

 

(1)Google for Educationとは

Google for Educationは、Googleが提供する学校向けサービスツールです。
かつてG Suiteと呼ばれたものです。

 

Googleが提供するサービスとして有名なのはフリーメールのGmailGoogleフォト、ドライブなどがありますが、Google for Educationはこれらを含めた法人用システムなので、個人で利用するよりも機能が充実しているのが特徴です。

 

(2)主なソフトたち

提供しているソフトは主に以下のとおりです。

 

・Classroom 
  ⇒オンライン上の教室。ここから課題提出や児童生徒と授業ができる
・ドライブ
  ⇒容量無制限の保存場所。ただし自治体によっては一部制限がある
・ドキュメント
  ⇒Wordのようなソフト(というと先生方は概ね理解します)
スプレッドシート
  ⇒Excelのようなソフト
・スライド
  ⇒PowerPointのようなソフト
・フォーム
  ⇒アンケートや小テストが簡単につくれる
・図形描画
  ⇒細かな図形やグラフ、フローチャートが作れる(一部制限あり)
・Meet
  ⇒ビデオ会議システム。児童生徒との双方向授業を可能にする
・Jamboard
  ⇒簡易的ホワイトボード。授業での活用が簡単と注目されている
Gmail
  ⇒フリーメールソフト。ただし自治体によっては制限あり
・カレンダー
  ⇒カレンダーソフト。校内の予定確認などに使える

 

などがあります。

 

(3)Google for Educationはこう理解しよう

研修ではこれらを単体で覚えましたが、正直言うと

 

「全然頭に入りませんでした」

 

あまりに機能が多すぎるのです。

 

それでも先生方にご説明する立場ですので、早く理解しなくては。
そんな焦りを持ちつつ何度も繰り返し練習していくうちに、

 

”これは単体で覚えるというよりも、Classroomを中心に動いている”

そう思えてきました。

 

これをイメージした図がこちらです。

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つまり、Google for Educationを理解するには

 

1.Classroomの構造を理解する
2.課題作成等を通じて、他のソフトも理解する

 

ほうが、全体像がつかめますし、私個人の感想ですが理解が早まるように感じました。

 

(4)まとめ

Google for Educationは多くの機能を持っているので、どこから手を付けたらよいか分からない先生も多いと思います。

 

まずはClassroom、特に「クラスでできること」を理解していただき、その中でどんな授業を実施しようか、どんな教材を児童生徒に提供しようか・・というふうに考えてみると、芋づる式でやりたいことが見えてくると思います。

 

失敗を恐れず、様々な教科単元での活用を目指してみてくださいね。

 

【関連記事】

やっとGoogleフォームを実践してみました(笑)

その利便性に大変驚いたことをまとめています!

こちらもぜひご覧ください。

 

ict-edulab.hatenablog.com

 

パソコンから画面を投影してみよう

今回はChromebookWindowsから画面投影するときのやり方と注意点をご紹介します。

 

 

Chromebookは変換ケーブルが必要

画面投影は、児童生徒に資料を提示したり児童生徒の考えを全体に共有させたりするなど、簡単かつ非常に有用な指導手段の一つですが、いざ投影しようとケーブルをつないだけれど、「あれ、出てこない・・」と冷や汗をかかれた先生も多いのではないでしょうか。

(そんなとき、ICT支援員や即対応できる先生がいると心強いですよね)

 

まずChromebookについてですが、パソコンに標準装備されているHDMI出力口を持っていません。

 

充電口であるUSB Type-Cからの出力となります。

 
そのため出力ケーブルは少々特殊で、HDMIからType-Cへの変換ケーブルとなります。

 

勤務校では変換ケーブルを購入し、標準HDMIケーブルにつなげてType-Cに変える手段を取りました。お値段はだいたい1000円~になります。

(ただ変換の仕様なのか、接続して2~3秒後に投影されることがあります)

 

画像1

 

ではケーブルをChromebookにつなげば出力・・とはいかないのです。

実はそのまま挿すと、サブ画面(サブディスプレイ)が投影する仕様になっていますので、メイン画面に切り替える必要があります。

 

 

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まず、設定を開きます。

そして画面を少し下にスクロールすると「ディスプレイ」がありますので開きます。

 

 

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ここにある「内蔵ディスプレイをミラーリングする」チェックボックスをONにしてください。

これでメイン画面が投影できます。

 

Windows10での画面投影

Windows10においても、時々サブ画面が投影される事象があります。

対処法としては

 

Windowsマークを押しながらキーボードのPキーを押します。

 

画面切り替え

画面右側にディスプレイの設定が現れますので、「複製」を選びます。

 

今回はChromebookWindowsから画面投影する手順をご紹介しました。

これらを活用すれば、児童生徒のChromebook等を投影して全体に共有したり、意見の比較等を実現することができます。

 

ICTでよりよい授業を目指してみてくださいね!

 

動画でもまとめました。参考にしてみてください。

www.youtube.com

 

【小学2年算数】Chromebook+スプレッドシートで虫食い算

ご無沙汰しております。所長です。

 

今年度は低学年と高学年の算数を担当していますが、今日は2年生算数「虫食い算」の授業をGoogleスプレッドシートを使って実践した事例をご報告します。

 

 

たし算とひき算の関係理解を促す虫食い算

本単元で初登場となる筆算は、計算技術の要となるためプリントやドリル等でとにかく何十回も練習させて定着を図ります。

そして本単元の締めくくりになるのが「虫食い算」で、たし算とひき算の相関関係が明確になる重要ポイントでもあります。

 

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「虫食い算」は、かれこれ8年ほど前ICT支援員時代に先生から「筆算のドリル教材がほしい」とのご依頼で作成したもので、多くの小学校で実践し評価をいただいています。

 

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特徴として、黄色に塗られている部分のみ数値入力を可能としており、答えの横には判定機能をつけています。これにより子どもは一人で問題に取り組めるよう設計しています。

 

今回そのファイルの存在を思い出し、学年の先生とご相談し教科書にプラスしてChromebookで実践してみることにしました。

 

スプレッドシートでの稼働には多くの課題が

 

とはいえ元々はExcelで、使用する端末はChromebook

そのため授業までの短い期間の間に

 

スプレッドシートへの変換

・Classroomからの課題配布

・操作全般の指導

 

 

等の作業が私を待ち受けていました。

 

まずExcelからスプレッドシートへの変換を行いました。これは問題なく行えましたが、早速問題が発生しました。

 

それはシートに設定していたロック機能が解除されていたことです。

 

 

このファイルにはシート保護を設定しており、黄色のセルだけ入力を許可し、他の部分にはロックをかける仕組みを入れていましたが、変換によりこれらがすべて解除されました。

問題や判定機能をいじられては困りますので、スプレッドシートでシート保護ができるかどうかを探したところ、できることがわかりました。

 

手順としては

 

1.シート全体を保護する

2.入力部分を保護解除する

3.権限を「編集を自分のみ」にする

 

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これにより、入力可能部分以外を編集しようとすると警告を表示できるようになりました。

 

詳しくは下記サイトを参照ください。

spread-sheets.com

 

いざ授業で活用してみると・・

 

保護を入れたスプレッドシートをClassroomに課題として配布し、授業当日になりました。

今回は受け持っている1クラスだけでなく、もう1クラスでも操作指導を行いました。

 

念の為、担任の先生に配布元を開いていただき、保護がかかっていることを確認し、「よし、これで大丈夫」と確信しました。

 

子どもたちはこの授業までにClassroomでの操作等は実践しているものの、やはり低学年ということもありパスワード入力やClassroomへの遷移、ファイル実行までに時間を要しました。

 

ファイルを開き、実際操作をしてもらうとちゃんと動作はしました。

が・・

 

肝心のシート保護が消えていました・・

 

案の定、操作を続けるうちに問題に数値を入れてしまい判定が正しく動作しない端末が続出し、担任の先生とともにその対応に追われることになりました。

それでも子どもたちは真剣に問題に取り組み、虫食い算の楽しさは感じてもらえたようです。

 

まとめ

 

最終的に授業自体はそれなりな形に収まりましたが、ポイントとしていたシート保護の消失はショックでした。

おそらく一人一枚配布にしたことで設定が消えたのではないか、と推測していますが、これについては今後調査します。

 

算数の授業として振り返ると、たし算とひき算の相互関係理解が定着していないこと、そして隣のクラスの担任の先生曰く「プリントやノートで習熟している子どもが繰り上がり、繰り下がりの概念に気づけずかなり苦戦していた」点が見つかりました。

 

まとめると、今回の実践はICT的には課題だらけの失敗でしたが、算数的には理解していた子どもが実際は定着に至っていなかったという課題をあぶり出せたと捉えました。

 

低学年でのICT活用は日々苦労の連続です。

それでも何らかの成果を見いだせるよう、これからも実践していこうと思います。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

ご参考になれば幸いです。