ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

【小2算数】ICT活用事例紹介 はこの形

こんにちは。所長です。

 

今年度担当した小2算数。

1年間実践してみて、ICTの効果を感じた事例をご紹介します。

今日のテーマは「はこの形」です。

 

※使用教科書:学校図書

 

 

 

はじめに

まずはじめにお伝えしたいことがあります。

 

ブログ「低学年の学びとICT - ICT教育推進研究所の研究室」でも書きましたが、低学年の算数は具体物を使った「体験」が主体ですので、ICTの活用する場面を作ることが難しかったです。

そのため、色々実験的にICTを用いてみたものの失敗した事例も多々あります。

 

ここではPowerPointと板書等による事例をご紹介し、失敗事例については後日まとめます。

 

箱から展開図への変化をPowerPoint

ここでは、箱がどのような概念で構成されているのか、を中心に理解する単元でした。

3年生以降で展開図を学びますので、ここではあくまで展開図の1つ手前までの理解にとどめています。

 

私はまず、箱は立体だけど開くと平面で構成されていることを理解させたいと考えました。

 

なぜなら、数年前担当した4年生で、どうしても箱から展開図になる様子をアニメーションで表せず、教科書のイラストをそのまま提示する指導をしてしまい、その悔いが残っていました。

 

(箱から展開図になる様子が、アニメーションで出来ないだろうか・・)

 

そう漠然と考えていたら、4年生の先生が箱から展開図に変えるアニメーションを作っていたので、やり方を学ばせてもらい、あのときのリベンジを目指しました。

 

フェードとフェードアウトを組み合わせて作りましたが、思うように行かず結構苦労しました。

 

苦心の末、実際箱から展開図へとアニメーションになったとき、思わずガッツポーズしてしまいました。

 

PowerPointを児童に見せたところ、「えええ?」と驚くと同時に、箱は開くと平面になることを映像から伝えることができました。

 

どの単元であれ導入はとても重要な場面と考えていますので、このアニメーションが学習への大きな足がかりとなりました。

 

切って、貼って、箱を作ろう

活動は本題に入ります。

箱の構成を知るために、箱の面をすべて画用紙に写し取り、これらを切り取ってテープにつなげ、実際に箱を再現させる活動をしました。

ここから面の数が6つ、ペアになる面が3つずつという基本概念に気づかせました。

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展開図から立体化する教材とのコラボ

次の時間では箱の構成を理解するので、アニメーションよりも実物のほうがいいと感じました。

 

なにか面白いものがないかなーと教材室を探ったら、

 

見つかりました。

 

これは強力マグネットで面と面を接続し、実際に箱を作れる教材です。

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面をつなげると、直方体が出来上がります。

 

6つの面を児童に1つずつつなげてもらったのですが、1人が考えていると周りから指示が上がるなどかなり盛り上がり、箱が出来上がると拍手と大歓声になりました。

 

そして再び開いて面の数やペアを確認するとともに、組み合わせ方についても考察する機会を設けて、のちの展開図へとつなげられました。


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立体化する箱は、いつも授業前や終了後の人気者でした。

基本的な展開図だけでなく、数名の児童が様々なパターンを試行錯誤し「これもできる!」「これでもいけるよ!」と見つけ出していたのが印象的でした。

 

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評価のワークテストでも半分以上がB判定以上の結果を出したので、アナログとICTのコラボが上手く行けた単元になりました。

 

まとめ

今単元では最初から「箱のアニメーション」をイメージしており、それを具現化することがすべてだと思っていただけに、実現できたことが何よりも大きな収穫でした。

 

実際のPowerPointアニメーションはブログ公開ツイートに追加しますが、このたった一つの動きが、箱の構成や概念理解へと結び付けられたこと、児童の箱に対する興味関心を高められたのは自分なりに評価できたかなと思います。

 

しいて言えば、立体化する箱が一人ずつ動かせたら構成をもっと深く追求できましたね。

そんな教材が生まれたら、楽しいと思います(^^)

 

まとめると

 

図形領域はICTの強みを活かせる

 

という結論でした。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

ご参考になれば幸いです。

低学年の学びとICT

こんにちは。所長です。

 

今年度も算数を担当しましたが、今年は少し勝手が違い、低学年も担当させてもらいました。

そこで今回は、特に低学年の指導で気づいたこと、低学年の学びとは?について感じたことを書いてみようと思います。

 

 

 

低学年の学びは「体験」

教職課程のテキスト等で学びましたが、低学年の学びは「体験」が主体です。

 

生活科を中心に、全般的にこのような活動があります。

 

・折り紙やコマ回し、凧揚げ等の昔の遊び体験

・どんぐりや松ぼっくりを使ったもの作り体験

朝顔の栽培

・学級園の生物観察や飼育

・季節や年中行事に合わせたもの作り

 

こうした体験を主とした活動は、算数にも取り入れられています。

 

具体的には

 

・折り紙を使った「分数」の概念理解

・おはじきや具体物を使った「大きな数・たし算・ひき算・かけ算」の理解

・工作用紙等を使った「箱の作成」と、それに伴う概念理解

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などがあります。

 

低学年におけるICTのあり方とは

低学年の学習は、その後の学習の素地につながるものばかりなので、先のように学習活動のほとんどが手先を用いたアナログによる学びになります。

 

最初「よし!おはじきとかもICTを使って理解させよう」と意気込んでいましたが、実際やってみようとしたら

 

タブレット等の操作に慣れていない。ログインですらままならない

・主旨の理解ができず、遊んでしまう

・そもそも授業を受ける姿勢が身についていなかった

 

等の問題が生じ、私個人ではあまり効果的どころか、実りある活用には至れませんでした。

 

「低学年の基本は体験。だからとにかく手作業が大事」とは、担任の先生から指導いただいたお言葉ですが、正直私はそういった指導が苦手で、なるべくデジタルで済ませたいと思っていました。

 

でもその言葉を受けて、確かにいきなりデジタルで操作させるより、その物の質や量感を理解させないと本当の理解にならない。

 

そしてそれは低学年の「今」でしか学べない、とても重要なもの。

 

2年生で学ぶ長さや水のかさといった概念も、単に様子の動画やアニメを見て、暗記的に単位を覚えるよりも、実際水を入れてやってみたり、物差しで長さを測定したりしてみた方が記憶にも残りやすいし、何よりその大きさや意味を実感できる。

そしてそれが抽象化された単位等へと発展すれば、暗記するよりも忘れにくい・・

 

授業を実践していくうちに、体験する意味と重要性を強く実感しました。

 

だから低学年の学習スタイルのベースは

 

デジタル<アナログ

 

なのです。

 

 

ですので、低学年のうちからICTを推進したいという、はやる気持ちを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが

 

そもそもICTは学習を深める存在であり、

 

基本となる学習態度の習得、そして習得すべき概念や素地を理解してからでないと、ICTは、その効果を十分に発揮できない。

 

ということになるかと思います。

 

特に学習態度は基本中の基本ですよね。

授業に使わせたくても、話を聞けない、集中できないでは活用しようにもできないのです。

 

なお、この結論はあくまで「算数」に限った話であり、じゃあ全然タブレット等を用いていなかったのか、というとそうではありません。

 

実は国語や生活科では結構日常的な活用をしており、

 

手書きによる文字入力をご紹介したら

 

・Jamboardを用いた国語での意見交換、漢字練習

You Tubeを視聴しながら折り紙の折り方を自ら学ぶ

・登校できない児童のリモート学習

 

などの活用をしたとの報告を聞いています。

私よりもむしろ担任の先生のほうが今回頻繁に端末を活用していたような印象です。

私は出る幕がないくらい・・

(勤務校は市内でも先端を行っているという噂も)

 

アナログ体験からデジタルで深い学びへ

私の経験をまとめますと、結局教科指導によるICT活用は低学年のみならず、いきなり用いるのではなく

 

①体験、経験を通して概念を理解する

 

②理解した概念を発展、深い学びへと導くためにICTを用いる

 

というのが、一番理にかなっているような気がしました。

 

難しい操作は低学年にとってハードルが高いです。

操作方法を習得させるのであれば、練習の時間を設けるなどして、十分理解できた上で教科の学習活動に活かすことではないかと感じました。

 

 

アナログでの体験を、ICTで深い学びにつなげる。

 

と、まとめつつ、正直実際はそこまで全然至れませんでしたので、これを次の研究目標の一つとして心に刻みたいと思います。

 

そんな失敗続きの低学年算数でしたが、いくつか手応えのあった単元事例もあります。

後日いくつか紹介しますが、1年間実践してみての感想は以上となります。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

ご意見ご感想等ありましたらよろしくお願いいたします。

 

学習に困難な児童へのICT活用を考える

こんにちは。所長です。

 

かなり時間が空いてしまいましたが、ようやく年末に構想していたブログを公開いたします。

ぜひ一読いただければと思います。

 

ーーーーー

 

2021年2学期を振り返るシリーズ。

 

最後は、学習につまづく、いわゆる学習困難な児童についてです。

 

1クラスに1割はいるとされている、発達障害等を持つ児童。

その症状は様々です。

そんな児童に、ICTが支援ツールにならないだろうか・・

 

心に余裕ができたので、ようやく地に足つけて考えてみたいと思います。

 

ノートが書けない児童

まず一つに、ノートが書けない児童が多いことです。

 

黒板に書かれている内容が全部書けない児童がクラスの3分の1程度存在します。

 

集中力が足りない、注意散漫、そもそもノートを書かなくてもテストで高得点が取れるなど、児童生徒の特性は様々です。

 

日によって態度が真逆になる児童

ADHD注意欠陥多動性障害)を持つ児童は、とても多いです。

 

具体的な症状としては、

・こだわりが強い。

・長時間席に座れない。立ち歩くことが多い。

・一つのことに興味関心があると、止められようが絶対やり続ける。

・高い知能指数を持つので、ワークテストの成績は高い。

 

このあたりは特別支援教育にもかかってきますので、詳しくは語れませんが、

45分間という長い時間、机に座って課題に取り組むことが難しい児童生徒は、どうしても目立つ存在にもなります。

 

まあ、日本の教育は教員一人が児童全員に指導する「一斉講義」スタイルが基本ですので、こうした子どもには苦痛なのかもしれません。

欧米のように、課題は与えるけどどんな姿勢でやってもいい。ただし課題は必ず達成させること、といった少々の自由主義も必要なのかなー・・・なんて思ったりもしますが。

 

さて、そんなADHDの子どもにはとにかく褒めてますし、活躍の場を与えています。

叱られてばかりなので、下手すると自己肯定感の低下や、本来持っているはずの良さが消されてしまう危険性がありますので、存在意義を感じさせてモチベーションを上げるようにしました。

 

とはいえそれも日によるので、地道な支援が必要だな、とは思っています。

 

 

甘えたがりの児童

こういう児童も多いです。

 

とにかくまとわりついてくる。腕を引っ張られるのは日常茶飯事です。

 

背景には

 

・親からの愛着が少ない。

・承認欲求不足

 

などがあるかと思います。

 

それによって児童への指導が行き渡らない、本当に指導すべき児童への個別対応ができないといった課題もあります。

 

こうした傾向は、成長によって薄らいでいくか、深刻化するかはなんとも言えないところです。

 

いずれにせよ、学校教育に馴染めない(馴染まない)児童生徒の学びをどうしたらいいか。

指導以上に、その部分が今年大半を締めたように感じます。

 

 

個別最適化を図りたい!ICTとはそのためにあるのでは?

ノートが書けない、座っていられない、集中できない。

こうした児童生徒でも、ICTを用いると集中力が高まるというのは、ICT支援員時代、何度となく見てきましたので、少しでも通常に授業に組み込めないだろうか・・

 

そんなことも考えて(企てて)いました。

 

これはまだ実現の目処は立っていませんが、地域から様々な興味ある実践事例が聞かれています。

 

私がやってみたいものの一つに「板書撮影」があります。

 

先の、ノートが書けない児童には、タブレット端末等に装備されている「カメラ」で板書を撮影してもらい、あとで復習に充てるというものです。

 

本来であれば「ノートに書くこと」が第一条件ですが、特性上どうしてもそれが苦手だったり困難だったりする児童も少なからずいます。

個別最適化を目指すのであれば、こうした苦手な部分をICTが請け負い、あとから時間をかけて少しずつできるようにさせていく、というのもアリなんじゃないか、と考えています。

 

また児童生徒の学習理解度も学年が進むにつれて大きくなります。

そうなると紙媒体のドリルやプリントを用意する手間も増えてきます。

ドリルソフトや、紙媒体をPDF化し、Classroom等に前もって掲載しておくだけでも、個別最適化は図れると考えられます。

 

とにかく、少しでも授業が「面白い!」と思ってもらえればこちらのものです。

 

そのために長い歴史的に、ありとあらゆる指導手法がありますので、そういったものも参考にしつつ、今の児童生徒に見合った「学びのスタイル」も導入するのも、これからの教育じゃないかな?とは思っている次第です。

 

まとめ

一人一台のGIGAスクール構想が始まってまもなく1年が経過します。

現場から見ていると、この1年で大きくICT活用が広がった学校と、そうでない学校の差が、かなり明らかになっている様子です。

 

習熟度ではありませんが、こうした差はできる限り最小限にとどめたいところです。

 

ですので、活用については、まずは大それたことを目指すよりも、日常的に使えるような簡単な部分から実施するとよいでしょう。

 

難しいことをしてハードルを上げるより、一番簡単なカメラ撮影からやってみる。

 

ClassroomやTeams等のグループウェアを使ってクラスの交流を図る・・などなど

 

イデアはいくらでもあるはずです。

 

私が願うのは、どんな児童生徒であっても落ちこぼれは出したくないこと。

そのためにICTを活用するべきだと思います。

 

2年目のGIGAスクール構想がどのように進んでいくか、私も現場の一人として活動していこうと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

教員の経験から伝えます

こんにちは。所長です。

 

2021年2学期を振り返るシリーズ。

 

1つ目は、初めて4月から教員をやってみて感じたことをまとめます。

 

ICTというより、学校教育への苦言?提言?になると思います。よろしくお願いいたします。

 

 

教員は多忙・・・・多忙すぎる!!

まず、これは何度も聞かれていますし、訴えていますが、教員の多忙さはかなりなものです。

 

私は毎日平均3時間ほど請け負う時間講師なので楽に見えるかと思いますが、とんでもない!!と言いたいです。

 

教員は、単に授業だけをすればいい訳ではありません。

算数と図書をやっている私を例に取りますが、一応これだけ任されています。

 

・授業指導(2年生と5年生)

・宿題用のプリント準備(2年生)

・マス計算の準備

・ノート確認(2年生)

・授業で使用する教材、ワークシート準備・印刷

・テスト前の確認プリント準備

・テスト採点

・成績付け(2年生)

・所見入力

・図書での読み聞かせ本の選別

 

昨年は少人数算数だけだったので採点程度でしたが、やることが増えました。

特に2年生は全部なので授業から評価まで丸々受け持つとともに初めてなことばかりで結構大変でした。

 

図書の読み聞かせも、何を読もうかいつも悩んでいました。

毎週学校司書さんがいらしているので、おすすめを伺ったり、季節モノを取り入れたりと、本への興味関心を持たせようと日々奮闘していました。

 

 

まず、教員が1年間走り通せるか否かは

 

児童の実態が大きい。

 

そしてそれは

 

教員のメンタルに大きく影響すると感じました。

 

必死になって準備して、ここまでやってもらおう!と意気込んでも、児童が授業に参加しようとしない、騒ぐ、ノートも教科書も出さない、話を聞かない、立ち歩く・・・

 

おかげで強い語気で指導することが増えました。

 

そのたびに自己嫌悪に陥り、テストをしても結果が伴わない、担任の先生の代わりに指導しているはずなのに、一人では授業が成り立たなくなり、苦しいを超えて怖かったです。

 

月曜日、授業が始まると思うと動悸が止まらないこともありました。

 

そんな日々でしたから、11月頃は私もメンタルやられかけました。

 

別の講師の先生は秋口に適応障害で休職になりかけました。

 

ここで私もやられたらマズイ・・と踏ん張りました。

 

一部しか担当してない私が苦しんでいるのに対し、担任の先生はその他になる訳ですから、もっと負荷が多いです。

そう考えると、学担の先生のタフさと、たくましさには頭が上がりません。

 

余裕がありません・・

さて、話を戻しますが、ICT支援員時代、授業事例を提案しても断られたり、1日全くお声がかからない日というのが結構あったなあと振り返ります。

(今のほうがもっと辛いですが)当時としては、とても辛い日々でした。

 

「必要とされていない」感覚を抱く方もいらっしゃったのではないでしょうか。

 

だけど実際は違いました。

 

必要とされていない、じゃなく、

必要としたくてもその余裕がない

 

これなんです。

 

私も毎日・・

 

明日の2年生はこれを準備して・・

板書計画をノートに書こう。どんなふうにやろうかな?

 

おっと5年生の方もプリントと配布物を準備だ。

印刷機にかけたら裁断して・・

 

あれ?明日の図書は何を読み聞かせすればいいんだ?希望を聞いていない。

担任の先生は?いない?教室かな?聞きに行かないと!

 

とにかく目まぐるしいのです。

 

そんな日々ですから、だんだん心に余裕がなくなってくるのです。

 

苛立ってくる先生も出ていました。

 

行事等も多く、日程的にも長い2学期は、特にそういった場面が顕著に見られます。

先の休職する先生が増えるのもこの時期です。

 

 

ICT支援員さんに伝えたいのは

つまり、正直言って、

 

先生たちは忙しすぎるのです。

 

質問したくてもその余裕がない。

 

なにか聞こうと思っても、目の前のことで頭がいっぱいなので忘れてしまう。

 

授業案を提案されても、1週間くらい先なら想像できてもそれ以上になるとイメージができない。

 

とにかく!明日のことで手一杯。

 

教員の辛さ、大変さを、今年は特に強く感じています。

 

この事実を、私自身、身を持って体感しました。

 

ICT支援員さんにとって、先生からの依頼というのは大きな存在価値だと思います。

 

だけど、現実はこれです。これを知ってほしいんです。

 

だから学期末あたりにパソコンの授業を・・と依頼が増えるのは、先生の目にゴールが見えて、余裕が生まれたからであって、ここでようやくICTや情報教育に向かい合えるのです。

 

 

私ですら、情報教育に関する気持ちが一時期完全に消えました。

パワーポイントで何かを作ったとしても、深く作り込めませんでした。

形さえなんとかすればいい、最低限の動きだけ入れておこう、映ってくれればそれでいい・・無理に使うのはやめよう。アナログでも十分伝わるだろう・・

 

支援員時代に理解できなかったことが、今の私には深く、深く理解できました。

 

だから、本当に申し訳ないのですが、ICT支援員さんには、地道に行動してもらうしかないんです。

たとえ反応がなくとも。めげずに。

 

余裕がある先生や、本当に困ってる先生なら、必ず何らかの形でアプローチしてきますので・・。

 

 

よい授業はICTだけじゃ実現できない

と、毎日の現場の様子を簡単に書きましたが、決して先生たちはICTを使いたくないんじゃありません。

 

やりたくて仕方ないんです!

 

私も、いちいち机間巡視しないと一人一人のノート書いてるか、とか活動が見られないのは労力の無駄と思っています。

 

一人一台タブレット等があるのなら、そこに考えを書いて、先生は手元で状況を一括で把握できたらどれほど楽か・・。

 

全員の動向を見て、そこからピックアップして考えを説明してもらったら全員が参加者になるし、ならざるを得なくなるので、能動的な授業が実現できるなあと。

 

皮肉なものです。

今になって、心の余裕が生まれたからやりたいことが出てきました。

 

グチャグチャ言いましたが、結局は

 

教員の働き方をもっと改善しないといけない。

教員のメンタルも支援していかないといけない。

 

ICTを使ったから、一人一台になったからといって、教育の改革なんて夢のまた夢と思います。

 

もっと根幹部分を見直していかないと、教員の負担は減らないですし、減らないと余裕が生まれないので、次にこうしよう、ああしよう、といった願望や思いも描けないし、実行もできないんです。

 

また、休職する教員が多いということは、教員のメンタルヘルスケアも、今以上に重要視しなければ、とも思うんです。

 

趣味で軽く心理学をかじっていますが、このあたりの知識をもっと共有して、未然に防がないといけない・・・

 

そう感じています。

 

 

文科省が実施した「#教師のバトン」は、内部に潜んでいた教員の激務を表出しましたが、まさにあれは真実でした。

 

ならばどうしていけばいいんでしょう?

 

教員に研修したい意欲や心の余裕を生ませるために、学校教育はどうあればいいんでしょうか?

 

 

そんなことを提案して、1つ目の記事を終えたいと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

2学期を振り返って思うこと 〜ざっくり書きます〜

こんにちは。所長です。

 

慌ただしい2学期がもうすぐ終わるので、ようやく一息付けたのでブログにも手が回る状況になったところです。

 

更新が滞っておりましたが、その間に多くの思いや経験をしてきました。

と同時に、教員の難しさも痛感してきました。

 

そんな思いを、一つずつ小出しですが報告したいと思います。

内容によってはICTというより学校教育への意見だったりするものもありますのでよろしくお願いいたします。

 

今回は仮の題名のみとさせていただきます。

具体的な内容についてはなるべく早くまとめてお伝えします(がんばりまーす)。

 

 

1.アナログとデジタルを使いこなす基準とは

 

2.教員の難しさとICT支援員に求めたいこと

 

3.ICTを使った学習に困難のある児童への合理的配慮はできないか?

 

 

YouTubeを使わないのは教育の怠慢

こんにちは。所長です。

 

この記事を読んで、思いを伝えたくなったので書きます。

 

toyokeizai.net

 

教育評論家の妹尾先生が執筆されましたが、未だにYouTube自治体として活用を認めないというのは驚くばかりです。

 

私の勤務する自治体でも、昔は児童生徒、先生も閲覧できなかったのですが、その後先生が、現在では児童生徒も閲覧できます。

(もちろん大前提のフィルタはあります)

 

良さを知ると、自ずと活用したくなる

先日職員室で、とある先生が「いやー、YouTubeいいね!なんでもあるんだね。知らなかったよ。授業(体育)で使ってみたけど指導が楽だった。」と感動されていました。

 

一人一台の環境になって、先生がYouTubeの良さに気づいた事例は、そう珍しくないのかもしれませんが、先生が新たな気付きをするのはとても良いことです。

 

経緯を伺うと、体育の指導をする際、どうしても先生一人では指導が行き届かない。

そのためYouTubeを活用して、子どもたちが各々動画を再生して動きを確認し、改善に利用したというものでした。

 

これにより先生は個別指導に注力でき、子どもたちは動画を使って自主的な学習活動を行うことができたそうです。

 

YouTubeはもはや、教育に欠かせないサイトになりつつあります。

 

それなのに、なぜ自治体によってはYouTubeを規制するのでしょう。

 

規制すれば破りたくなる。それが人間

規則というものは、納得がいかないものだと人は破りたくなります。

 

それは間違った行動ではありません。

 

納得いかないから、破るのです。

 

YouTube=有害なもの、と考えるのはナンセンスです。

 

私が伝えたいのは

 

子どもたちに見せるのは好ましくないからと蓋をする時代はもう古いのです。

世界ではITの良さも悪さも理解し、その上でよりよい活用を模索しています。

 

ICTの活用によるメリットは既に証明されており、学習意欲が高まったり教科書では導き出せない考えを引き出したりする点が挙げられます。

 

内発的動機づけを引き出すICT

私の担当する低学年も、最近は休み時間にYouTubeを見ています。

 

先日も覗いてみると、数人で「カマキリの産卵」動画を見ていました。

 

聞くと、生活科で興味関心を持ったから調べてみた、とのことでした。

 

自ら興味を持ったら調べてみる。

 

こうした「自ら行動すること」を心理学では『内発的動機づけ』といいます。

 

この行動は学習する上で非常に大事です。

 

YouTubeを禁止することは、そうした機会を大人が子どもたちから奪っているのと同じです。

 

それを教育を司る教育委員会が行っているとしたら、どう説明するのでしょうか。

 

有害な動画をどう取り扱うか

おそらく、自治体が許可を出せないのは、YouTubeに投稿されている多くの動画の中に有害なものがあることだと思います。

 

もちろんそれは重々承知しています。

 

しかし先程も書きましたが、有害だからといって、編集精度も高く、教材になり得るほどの有用な動画も一切使わせないとする行動は、教育の怠慢だと思います。

 

問題は有害な動画や、関係のない動画視聴があった場合、どうするかだと思います。

私はそれを情報モラルやリテラシーに応用しています。

 

一つの教材として取り扱い、今それを見る時間なのか自問してもらいます。

子どもたち自身が考え、自律に繋がせる方向にするほうが、よっぽど教育になると考えますが、皆さんはどう思われますでしょうか?

 

 

動画を使うと自分の指導力が危ぶまれる。

そんな事を思っているようなら、違います。

 

逆です。

 

良い動画にもっと頼りましょう。

先の先生も「もうこれにしたら楽になっちゃって(笑)」なんておっしゃるくらい。

 

先生は多忙です。

全てを全力でやるといつか体力も気力も無くなります。

 

手を抜けるところは手を抜きましょう。

これも立派な働き方改革です。

 

ぜひご検討くださいませ。

 

研究授業は等身大の時代へ

こんにちは。所長です。

 

先日、勤務校で研究授業がありました。

私は残念ながら準備等があって不参加でしたが、参観された先生が戻るなり私にこうお話されました。

 

「みやもとさん!俺分かったよ!Jamborardの使い方を」

 

ベテランの先生が、その授業をご覧になってなにか気づかれた。

これは相当な変化になりそう。そう思いました。

 

 

私が思う研究授業の意味

研究授業を行う際、最近はICT支援員の支援が増えています。

特にGIGAスクール構想によって一人一台となってからはその機会も増えていると思います。

 

研究授業について軽くご説明しましょう。

 

研究授業とは、その学校が設定した研究主題に対し、仮説をもとに、よりより授業を目指して実施されるものです。

実施する学年等は研究部会で決定し、指定された先生は研究授業を行い、校内の先生や学校が指定する講師の先生に参観してもらい、授業の改善と研究の成果に繋がせます。

 

そのため研究授業は、通常の授業と違い、少々着飾った内容になりがちです。

 

かくいう私も教育実習の最終で研究授業を行いましたが、かなり背伸びした内容でしたし、多くの先生に見られる緊張感でボロボロでした。

 

そんな恥ずかしい記憶が残る研究授業。

今回は少人数算数の先生が、6年生算数「角柱・円柱の体積」単元で、どの立体の体積が大きいかを意見交換しながら求めるものでした。

 

その意見交換で使われたのがGoogleの「Jamborard」だった訳です。

 

そして戻ってきた先生が私に伝えた言葉の意味。

これこそ、私は研究授業の本質だと思うんです。

 

背伸びした研究授業は、他の先生に真似されにくい

私もそうですが、つい見栄えをよくしよう、とかでICTを使おうと考えてしまいます。

 

ノートや板書で実現できることを、タブレット端末でやろうとしていないか。

児童生徒の実態に即しているか。

 

背伸びした授業案を考えると、操作等で手間取ったり思い通りの結果が得られなかったりするだけでなく、参観された先生は感嘆されてもその後の普段の授業で実践してもらえない。

 

つまり

 

「真似されにくい」授業

 

となってしまうのです。

 

 

今回の授業はICTの活用が主題なのでICTが主役です。

となると逆に、どの学習活動ならICTの良さを活かせるか、がポイントになります。

 

先生はまず、Jamborardの基本操作と特性を学びました。

そこで意見交換に特化していると感じ、単元の最後である「考え方の共有」を研究授業に当てました。

Jamborardは既に子どもたちも何度も活用していて慣れていることも選考基準になったようです。

 

このように、研究授業を実施する上で大切なのは、無理やりICTを使うのではなく、

 

それぞれのソフトやアプリが持つ特性やメリットを知った上で、どの単元のどの活動でならその効果を最大限活かせるか。

 

本当にアナログよりもデジタルなのか。

どちらが学習効果を増大させるかを比較して選定する。

 

が大事です。

 

かくいうICT支援員時代、ついついICTの物珍しさや自分の貢献事例を求めて先生に「ICT使いましょう!」と推し進めましたが、今思うと全体が分かっていないのにひどいことをしたなーと反省しています。

 

なのでICT支援員も先の授業を実施する上で絶対に曲げてはいけない部分を理解した上で、どのコンテンツなら学習効果を引き出せるかを一緒に考える必要があります。

 

もしそれが背伸びしているようであれば、一度見直してみるといいと思います。

 

等身大の研究授業がもたらす影響は計り知れない

さて、先の開口一番Jamborardの良さに気づいた先生。

早速使ってみたい!そう私におっしゃっていました。

 

経験上ですが、こういう感想、案外聞かれないものでした。

逆にこんな意見が多かったです。

 

「面白いんだけど、自分の授業スタイルに置き換えられない」

「その授業だけにしか使えないイメージ」

 

それではせっかくの研究授業の意味がありません。

 

本当にICTの活用を促進したいのであれば

 

真似しやすい授業がICTの活用を広げる

 

ものじゃないかと思います。

 

どんなにICTの持つ機能が優秀でも、どんなに素晴らしいコンテンツがあったとしても。

 

普段使いできなかったらだめなんです。

 

等身大の授業こそ、本当の研究授業だと思います。

 

 

授業を見て、参考になった、勉強になった、同じようにやってみたい。

 

こういった意見や感想が出なくては、実施した意味がありません。

 

先生が日常的にICTを用いることによって、先生の情報活用能力は向上します。

そして児童生徒の情報活用能力も向上させます。

 

ICTが物珍しい時代は終わりました。

背伸びはもういりません。

誰でも実践できるツールでよりよい授業改善を目指しましょう。