ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

【コラム】一人で抱え込まないで!支援員は一人じゃない

※前回ブログで現役ICT支援員さんや関係する方からご意見をいただきましたので、ちょっとコラムをはさむことにしました。
一応ここでは私の体験を元に記しますので、「同行研修なんてなかった」というご意見もいただくでしょうが、ご容赦ください。



ICT支援員は基本一人で学校に行き、一人で作業します。つまり孤独な存在です。
この特殊な立場が、ときに支援員を追い詰めることがあります。そんな裏側のお話をしましょう。

最初は同行研修メインなので二人で行動することが多く、疑問が起きても大体そこで解決できます。
しかしいざ独り立ちすると一日一人で行動し、今日やることを学校様から伺ったり、自分でやることを探したりします。
だけど初心者の段階では日々新しい疑問や問題にぶつかります。
誰かに聞きたいけれど、先生方との関係性が出来てないと聞きづらい。先輩に電話してもつながらない。
他にも先生がちょっとした愚痴をぶつけてきたりと、結構この仕事は人間関係に関してはハードワークだったりします。

そうなると出てくるのが「辞めたい」という声。
(私も何度となく訴えました。その話は後ほど)

誰にも相談できない。
相談したくてもリーダや先輩が忙しすぎて聞く時間が取れない。
だから何も言わなくなる。
上司や先輩の方は何も言ってこないから大丈夫だろうと思う。
聞いても「大丈夫です」の一点張りだし。
すると突然「辞めますさようなら」といって姿を消すなんてこともあるのです。
いわば職場放棄みたいなもので、私の先輩にも後輩にもそういう方がおりました。



支援員は一般企業と違い学校に定期訪問しているので責任上、年度途中での退職は望まれません(私は望んでません)。
それでも実際はそんなことが普通に起こります。
そうなると残されたメンバーにしわ寄せが起こり、結構大変な状況になります。
なぜなら既に決まっている学校様の予定の隙間に引き継ぎ校の予定を組み入れなければならない。
つまり日程再調整になる訳ですから、当然学校様の希望通りにはならないので不満が生じます。
直接チクリと言ってくる先生もいらっしゃるため人によっては心を痛めます。
それでも表情は笑顔でいなければならない。支援員はそんな苦しいこともあります。



ではそうならないためにはどうするか?

支援員はとにかく「困っている!」「助けて!!」という声を周りに高々と上げる。
そして育成側は「一人前になるまでは手厚いフォローをする」
これだと思うのです。

私の場合、後輩たちが入ってきたときはどんなに忙しくても電話やメールがあれば即対応を心がけました。
状況を聞いて、できることできないことを指示する。そして解決できたかどうかを確認する。
こうした地道なフォローの結果、私が育成に関わった後輩(約13名)はだいたい目安である3年以上勤めあげ、そのうち3人は5年以上も在籍してくれました。



学校現場は一つ一つ起こることがイレギュラーなことばかりですので、最初のうちは分からなければなんでも聞く。
そして学んだことはメモして残す。同じことがあったらメモを見返す。
そうした行動をどんどん積み上げることで支援員は一人前になれるのです。



支援員が一人前になるまでだいたい2年~3年と思っています。
それまでの間、いかにこの仕事の楽しさを知ってもらえるか、どれだけ困ったときに先輩が手を差し伸べられるかは大変重要だと思っています。

少しでも不安を解消し、仕事に向き合えるようにできるか。子どもたちや先生からの「ありがとう」がどれほど嬉しいか。
この仕事に誇りを持って取り組めるようにするためには、とにかく

問題点は抱えさせない
どんな些細なことでも相談して心をスッキリさせるフォロー体制づくり


が大切だと私は思います。


大丈夫、ICT支援員は一人じゃない。


卒業した先輩として、そう心から伝えたいです。


次回は11月25日に更新します。