ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

パソコンクラブの活動から見る、プログラミング教育の壁

こんにちは。ぐうぽんです。

 

先日、久しぶりに勤務校のパソコンクラブに参加しました。


ICT支援員の頃はよくクラブ活動に呼ばれてサポートする機会もありましたが、講師という身分になってからはほとんど参加できていなかったので、(このままでは私の良さが埋もれてしまう・・)と感じ、見学程度の気持ちで覗いてみました。

Scratchを楽しんでいるけれど・・

担当の先生からは「スクラッチでゲームを作ったりしているくらいで、特に目的を持ってやってるわけじゃないですけど」と前置きがありました。

 

私は各学年ごとにグループになって黙々と作業をしている様子を見ていました。

 

すると一人の子から質問があり、なんとなくな知識で「こうじゃないかな?」と解決方法につながる手順を教えると、徐々に「ぼくも」「先生、終わったら次に」と、どんどん呼ばれるように。


とはいえ、私は正直Scratchはそれほど得意じゃなく、むしろ苦手な分野。
内心ヒヤヒヤものでした。

 

活動自体としては、一人一人が作りたいものを作っていく。
そんな雰囲気でした。

 

でも、これをプログラミング教育の観点から見ると、果たしてどうなんだろうか。
そう感じました。

専門家じゃないと難しい

これは終了後、担当の先生が発せられたつぶやきです。

 

まさにその通りです。
こんな内容は、専門家じゃないと答えられないです。

 

Scratchはなんでもできるスグレモノ。
なんでもできるから、逆になにもできないものだと私は感じます。

 

要は、「こんなことができる」という具体的な事例がもっと表に出てこないと、想像すら働かない難しいものだと思います。

 

ましてや指導するのはちょっとだけパソコンスキルの高い教員ですから、子どもたちの質問にすべて答えられるとは限りません。
(私ですら頭を抱えてしまいます)

 

さらにここにはmicro:bitもあるそうで、「使ってます?」と聞くと「いやー、さすがにこれは」とのこと。

 

結局、プログラミング教育が始まるからと色々取り揃えてみたものの、これらは元々理解しにくいシロモノ。


だから遠慮されてしまい、結果パソコン室の片隅で眠ってしまう・・
安易に予想できるものでした。

 

プログラミング教育が目指したものは、論理的思考の育成でした。
プログラミングの手順を通して、順序や条件などの手法を学習や生活に生かしていく。そんな理論でした。

 

でも実際は、STEAM教育どころか先のクラブ活動の姿が答えであり、現実の姿だと思います。

プログラミング教育が一般化するには

この現状を打開するには、結論からすると、

 

もっと敷居を下げないといけない
長けた先生は「誰でも簡単に操作できる事例を知っておく」必要がある
専門家の力を借りるシステムを構築する

 

でしょう。

敷居を下げるには、文系の人でもできるような簡単な理論が妥当でしょう。
順次・分岐・反復を教科単元に重ね合わせると理解も早まると思います。

 

そして少しスキルをお持ちの先生であれば、先の理論に加えてちょっとした簡単な事例をいくつか知っておいて校内研修で広めるのがいいでしょう。
算数理科を中心に難しくない内容が良いです。

 

加えてICT支援員等の専門家の力を借りられるようなシステムを組めれば、困ったときの助けになります。近年はSE出身の支援員もいるので、プログラミングの本質を知るきっかけづくりにもなるでしょう。

 

もちろん地域の方々の力を借りる手もあります。学校が地域に開かれた学校として認知されると嬉しいですね。

 


ただ、このような話は5年前、プログラミング教育がスタートする段階から言われ続けていますし、私も提言し続けています。


5年の月日が経った今、実現どころか、その片鱗すらも見えなくなっている。それどころかもう頓挫しているのではないか。

 

そんなふうに感じられました。

 

クラブ活動は特別活動の一つなので、目標としては「異学年交流」を目指しますので、楽しく遊んで、みんなと相談したり交流したりして良かったね、なら、特別活動の目線ならそれでいいですが、プログラミング教育から見ると首をかしげてしまいます。

 

特別活動の目標も、プログラミング教育の目標も達成できるような教育活動が実現できればいいですね。