みなさんは「あいつ今、何してる?」という番組をご存知でしょうか。
有名人が小中高校時代をともに過ごした同級生たちをピックアップし、彼らの今を知るというバラエティです。
それに近いことを、1年前、東京滞在の最後に行ってきました。
Kさんとの再会
私は支援員1年目~9年目あたりまで、ある自治体で業務をしていました。
赴任当初、ここのICT環境はコンピュータが起動しない、インターネットがすぐ切れるなど非常に悪く、常に教育委員会に改善を求めていましたが一向にその気配はなく、厳しい状態でなんとか授業を支援していました。
そんなとき、教育委員会の担当さんが変わることとなり、そこで出会ったのがKさんでした。
Kさんは劣悪だったICT環境を大幅に改善し、支援員の立場も尊重し、市内のICT活用促進を影で支えた市職員さんです。
今回機器導入に関する成功事例を発信したく、Kさんにお会いして当時のお話を詳しく伺いたい。そう思い立ったのです。
Kさんとは約3年ほど一緒にお仕事をしましたがその後部署異動となり、今はどこにいるかわからない状態でした。
そこで私は先日教育委員会を訪れたとき再会したかつての同僚Sさんへ、Kさんに会わせてほしいとお願いしました。
数分後、「案内するね」とKさんのいる部署へ案内してもらい、Kさんと再会しました。
「使ってもらうこと」の大切さ
突然の訪問に少々驚かれたKさん。当時より若干お歳を重ねられた様子でしたがその雰囲気は変わりありませんでした。
名刺を渡し、独立したことをお伝えして、当時の状況を伺いたいと話を切り出しました。
簡単にまとめるとKさんはこのような考えのもと、市内全校のICT環境の改善を図りました。
・当時はコンピュータが2社入っているため保守がスムーズに行かない。まずこれを統一して改善する。
・機器入れ替えの際は方針を持ち、安いものを入れるのではなく活用に即したものを入れる。
・そのためには全体を俯瞰した現場のルール(セキュリティポリシー)が必要。
実際に行われたことは主に以下のような内容でした。
・教員に向けたセキュリティポリシーを策定し、周知徹底した。
・トラブルの報告は電話ではなく既定のフォーマットを使いメールまたはFAXで。
・ソフトのインストールは原則禁止。必要であればその旨を記載した要望書を提出すること。
(これにより懸案事項だった支援員に対するインストール要求はゼロになりました)
・USBの使用は認めない。
・管理ソフトを導入し、CDやDVDの書き込みを一部制限。
(管理ソフトは後にコンピュータの遠隔修理をもたらすなど大きな変革となりました)
・保守管理員を週3日常駐させ、トラブルの早期解決を目指す。
・市内全小中学校のデータを教育委員会サーバで一括管理し、学校や教育委員会間のやり取りをスムーズにした。
改めて話を伺うことで、特に当時の私達支援員が知らなかった経緯が明らかとなり、驚きばかりでした。
そして何よりもKさんはお話の中で何度も「先生に使ってもらうことが大前提」と仰っており、いかに現場のことを考えて整備を指示されていたのかをうかがい知ることができました。
また本来あり得ない稼働途中でのメモリ増設を実施したことも、話しているうちに思い出しました。
相棒Nさんとの再会
お話を伺い帰ろうとしたらKさんが「Nさんにも会いに行きましょう」と、Nさんのいる部署に案内してくださいました。
NさんはKさんのサポートとして一緒に環境改善に尽力された方で、まだ20代のイケメンさん(昨年結婚されたそう・笑)です。
私を見るなり「おーーーっ!!」とやってきたNさん。お二人が並び立つその光景はまるでドラマ「相棒」のようで、懐かしく感じました。
Nさんは私が通信制大学で履修を始めた、までは知っているとのことでしたので、卒業したこと、Kさん同様独立したこともお伝えできました。
そして3人、当時の苦労話などに花が咲き、その場を後にしました。
この活動は、私が理想とする教育委員会、納入業者、支援員の三位一体が実現した唯一の活動でした。
実はこのことを卒業論文に書きたかったくらいでした。
通常機器の入れ替えなどは教育委員会と納入業者が決めることが多く、現場の声は一切聞き入れないといっても過言ではありません。
しかしそんな暗黙のルールを崩したのがこのお二人でした。
情報教育推進会議では現場の先生の声をすくい取り、学期末には必ず納入業者と支援員との情報交換の場を設けたことで、先生も支援員も仕事がしやすい環境となりました。
その結果、活用の回数は大幅に増え「使いたいときに、いつでも、すぐ使える」といった当たり前のことが実現でき、今後さらなる改善が図られることも決まりました。
活用に値しないICT環境は、教育課程に影響を与える。
KさんやNさんのようなICTに理解ある方が教育委員会にいることで、学習環境は大きく改善できます。
今回の再会は、私にとって大きな意義をもたらしました。改めて感謝の意を申し上げます。