ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

【プログラミング教育】研究授業その2 ~図工とプログラミング~

11月下旬。都内小学校にてプログラミング教育の研究授業と中間発表が行われました。

 

 

 

 

 

授業当日までの活動

無事オフライン版Scratchが動作することを確認できた私は、その後1回だけ授業を支援。
子どもたちの作品もプログラムを組み入れる方向に進んでいました。
そしてこの時間の最後には鑑賞の時間も設け、徐々に図工科としての活動に重きを置いていきました。






コスチューム変更やスクリプト作成も徐々にできるようになってきたので、あとは当日を待つだけになりました。
最後に念には念を入れて、パソコンのログインを指定した端末に先生機から行えるようセッティングし、数回の動作確認を実施し完全な状態に仕上げました。


 

研究授業本番を迎えて

研究授業当日の私は専ら撮影を中心にサポートしました。
本時の展開としては、
①全体と個別で鑑賞の時間を作り、友達の作品からヒントを得る ②作品を完成に向かわせる ③ふりかえりをする でした。
この場面は自分が作ったプログラムを全体に説明しているところです。







何十人という関係者に囲まれての授業に子どもたちはいささか緊張気味でしたが、いつも通りの活動ができていました。




参考にした部分を、さっそく自分の計画書に書き入れプログラムをよりよくしようと活動する場面も見られました。
依頼から3週間。ようやくお見せできるような授業にたどり着けたことに正直安堵しました。

ふりかえりでの意見では、子どもたちの率直な「難しかったけど楽しかった」の声が聞けたので、それなりに成功したと感じました。




この日は近隣の小中学校からも管理職や図工の先生、教育委員会の方など多くの人が訪れました。
授業の合間にはかつてお世話になった先生に活動の経緯などをお話しました。
そしてこの授業をきっかけに、他の学校にもプログラミング教育の進め方が広がっていきました。

 

中間発表と先生による講評






授業終了後、研究部の先生方による中間発表が行われ、低学年では実生活を振り返り無駄のない行動をするにはどうするか、高学年ではmicro;bitを活用した理科の授業事例が紹介されました。
その後、講師である東京学芸大学の藤原裕先生による研究の講評が行われました。以下概略をご紹介します。


・今回の単元では年間70時間のうち7時間を使ったため、今後の単元に影響を及ぼす可能性がある。
そのためいかに科目の時数を効率的に使うかが課題となる。現時点では総合的な学習の時間や生活科との併用が妥当。

・試行錯誤とはやみくもな活動ではないことを忘れないこと。

・今回の授業では絵を描くことに夢中となり、プログラミングにまでは行き着いていない。
よって基本操作である情報リテラシー】の習得時間を確保することが重要ではないか。

・思考は「プログラミングを通して実践する」ことが前提である。

・「プログラミング教育の手引き」はよく読んでほしい。すると強調している部分が見えてくる。
そして実際にやってみる。これによって事例が積み上がってくる。

・プログラミング教育としては、低~中学年はルビィのぼうけんなどのコンピュータサイエンスアンプラグドを用いる。
高学年では教科との連携を図り、簡単なプログラミング言語にも触れさせてほしい。これが中学校との橋渡しになる。
※中学校の新学習指導要領ではプログラミング言語を用いた授業が必須となっていますので、私もこれは重要だと思いました。

・現場は厳しいかもしれないが、指導要領に基づいてやっていってほしい(懇願)。


活動をふりかえって



今回、私は独立後初めて仕事を請け負いました。
あれから1ヶ月ほど経過しましたが、今回の図工の先生の挑戦は非常に素晴らしいものだと思っています。
図工とプログラミングの融合は、アイデア次第で決してできないことではない。そう感じた授業でした。

その一方で、子どもたちは全体的にスクリプトの多彩な動きに興味が移ってしまい、本来考えていた設計図通りの動きを実現することを忘れていたり、1枚目の作品と2枚目の作品が交互に動くことでアニメーションが成り立つという原理が理解できていなかったように感じました。
(3年生という発達年齢もあるかもしれませんね)
この場合でしたら、例えば手を振る動作を一つ一つ細かく見ることで、手を振る動作は細分化された一つ一つの動きが順序立てて処理されていることに気づく=プログラミング的思考の育成につながるのではないか、と考えられます。
ロボットになりきって友達から司令を受け動作するというアンプラグド活動を前もって行っても良かったかな?とは思いました。

今後子どもたちは、今以上に様々な活動を通してプログラミング的思考を養っていくと思います。
そこに少しでも関われたら、私としてもこれほど嬉しいことはありません。

とりあえず仕事はこれで一旦終了しましたが、今回の仕事で私が今後仕事を請け負う上で自負したことは、あくまで「助っ人」であること。
よって必要なときに精一杯活動し、少しでも先生方のご希望を叶えていく。そして必要がなくなったら去る。
たたそれだけだと感じました。
依頼をいただいた学校様の研究は来年度も続きますが、もちろん今後も依頼があればお手伝いする予定です。




2回に渡る活動報告をご覧いただき、ありがとうございました。
なお、私の活動はプログラミング教育に限りません。
というかプログラミング教育はまだ発展途上。私も知識がそれほどありませんので、先生と一緒に悩み、考え、答えを出そうと思っています。
私の主たる活動はICT教育全般ですので、普通にパソコンを使った授業や調べ学習など、これまでも行われている情報教育についても様々な実践事例を持っています。
これを機会に活動に興味を持たれましたら、ぜひ一度ご相談、ご連絡いただければ幸いです。