ICT教育推進研究所の研究室

ICT支援員→小学校教員が「ICTの効果的な利活用」をテーマに、授業記録・情報教育・情報通信技術(旧ICT)支援員について書いています。

東京学芸大学 教育フォーラム2018

去る12月1日、東京学芸大学にて行われた教育フォーラム2018に参加してきました。
以下概要をご報告します。



●ICTを活用したビジュアルリテラシーの育成

ここでは高校国語科で育む映像リテラシーということで、iPadを活用した授業実践が報告されました。
例えば3枚の写真に体の一部を撮影してハッシュタグを付けたストーリーを作成するといったものが紹介されました。
ここで印象的だったのが言語と映像をコラボするということで、ハッシュタグに文字制限はない性質を利用して映像と言語を結びつけることにより、製作者の感想を文章から映像で表現する力を身につけるものでした。
こうした活動はすでに国際バカロレアでも実践されており、今後の活動が注目されます
また、ビジュアルリテラシー著作権といった知的財産権と絡めた学習についても報告されました。



●演劇公演を活用した小学校における英語学習

次は「ファンラーニング」を用いた英語学習の実践事例です。
ここでは「マグナとふしぎの少女」という英語学習教材を活用した演劇を通じて、児童が英語を無意識的に取り入れる(学習している感覚がない)スタイルを構築していました。主人公である少女が英語を間違えることで、児童が失敗を恐れない態度を身に付け、コミュニケーションを図っていく活動が印象的でした。



●プログラミング教育が拓く教育の可能性

次は東京学芸大の学生が教育実習でプログラミング教育を実践した事例が紹介されました。
実習生が取り組むことに、現場の先生方は少々困惑されたそうですが実際に行ってみると実習生のみならず現場の先生方もプログラミングを学ぶ機会となり、様々な気付きが生まれたそうです。
真似から入り、創造し、習得するというスタイルは、プログラミング教育の真の理解を促す。そんなことを感じた事例でした。



●ちょっと背伸びをして、プログラミングにトライ!

東京都のプログラミング教育推進校に選ばれた小学校の先生がプログラミングに挑戦した内容は、まさに私の初仕事と重なり頷けるものばかりでした。
この学校ではアーテックロボを活用した理科の電気や、Viscuit、Hour of Codeなど多岐にわたったビジュアルプログラミングを実践し、試行錯誤の中からプログラミング教育の方向性を見出していたところが素晴らしかったです。研究を通して教員が興味を持って取り組んでいく流れは私の仕事先も同じでした。この学校の今後にも期待です。



●前原の野望:プログラミング教育から「学び」のあるべき形について考える
最後は大トリ。小金井市立前原小学校からの報告でした。
プログラミング教育の先端を走る前原小の事例はどんなものだろう?とワクワクしていましたが、さすがの実践事例でした。
自由に相談してもよい、だけど立ち歩いての相談っていかがなものといった、これまでの学校教育で感じるジレンマに立ち向かう姿や、プログラミング的s思考にとらわれない、楽しさを通して自然と思考は身に付くといった考えは目からウロコばかりでした。
また「決断させることをさせない」ことは、児童に失敗を恐れる姿勢を植え付けてしまう、だからどんどん試行錯誤していくべき、といった考えはまさにそのとおりだと実感しました。そして前原小は金曜日の6時限目をプログラミングの時間と教育課程で位置づけることで、全学年が均等にプログラミング教育を受けるスタイルができていることも分かりました。
教員がプログラミングを体験することで、児童の気持ちが分かる。教員はどんどん経験していってほしい。
失敗を恐れない行動を、先生が見せることって大事かもしれませんね。勉強になりました。